「何から練習すればドリブルが試合で通用するのか」を明確にするための実戦ロードマップです。中学生の技術・体力・判断力の伸び方に合わせ、今日から取り組める練習メニューと、12週間での上達プランを具体的にまとめました。ボールタッチの数を増やすだけではなく、観る、運ぶ、外す(相手をズラす)を一体化。自主練でもチーム練でも使える手順にしているので、部活の忙しい時期やテスト期間でも回せます。まずは現状を把握し、土台を固めた上で、突破・保持・判断へ。確実に通用するドリブルを、無理なく積み上げていきましょう。
目次
サッカードリブル練習メニュー中学生向け上達ロードマップの全体像
このロードマップの使い方
このロードマップは「診断→基礎→突破→試合適用」の順で進みます。最初に30分のベースラインテストで現在地を数値化し、3つのブロック(各4週間)で重点を変えながら上達を加速させます。
- 週3〜5回の練習を想定(1回15〜60分で柔軟に調整)
- 各メニューは「時間・回数・合格基準」を明記
- 月1回の見直しで負荷調整。うまくいかない時は一段階前へ戻る
おすすめの流れは「アップ(可動+タッチ)→基礎ドリル→突破/保持→判断負荷→クールダウン」。試合に近づくほど「相手・時間・方向」の制限を増やし、トレーニングの難易度を上げていきます。
上達を最短化する3原則(観る・運ぶ・外す)
- 観る:ボールだけでなく、相手・味方・スペースを事前に確認。プリスキャンの習慣化が判断を早くします。
- 運ぶ:ボールを「置く」感覚で、次の一歩が最速で出る位置にコントロール。足元でコネるよりも、意図ある運びで前進。
- 外す:相手の重心を逆にとる・届かない距離に置く。1歩目の角度と加速でズレを作ります。
学年別の目安と到達指標(中1/中2/中3)
- 中1:基礎タッチの正確性と視線の習慣化。10mスラローム(パイロン5本)を7.5〜8.5秒目標。
- 中2:減速→方向転換→再加速の型を安定。1v1成功率50%超(同レベルの相手で)。
- 中3:試合での使い分け(保持/突破/誘い)が選べる。被奪取回数をポジション平均より少なく。
現状把握チェックリスト:中学生のためのドリブル診断
技術スクリーニング(タッチ精度・リズム・両足)
- タッチ精度:左右インサイドで直線15m、ライン外に出さずに運べるか(ミス0〜2回で合格)。
- リズム:テンポ1-2-3の切替(ゆっくり→普通→速い)でスラロームが崩れないか。
- 両足:ダブルタッチ(右→左/左→右)を各30回、ミス2回以内で完了できるか。
状況判断スクリーニング(観る・選ぶ・手放す)
- 観る:ドリブル開始前に左右後方を2回以上チェックしているか。
- 選ぶ:縦・斜め・横の3方向のうち、空いている方向に90%以上で選べるか(コーチや家族の合図でも可)。
- 手放す:保持が難しい時にパスやリセット(バックパス/体の向き直し)を選べるか。
身体要素(スピード・可動域・安定性)
- スピード:10mタイム(立ちスタート)。目安は1.9〜2.1秒。
- 可動域:股関節(ハードルステップ)、足首(しゃがみ込み保持20秒)。
- 安定性:片脚バランス30秒(目線前方、ぐらつき2回以内)。
30分でできるベースラインテストのやり方
- 10mスラローム×3本(ベストタイム記録)
- 両足ダブルタッチ30回×2セット(ミス回数)
- 減速→方向転換→再加速ドリル5回(最短タイム)
- 簡易1v1(守備者はパッシブ→アクティブ)各8本(成功数)
- 動画撮影(正面+斜め)で視線・重心・タッチ位置を後確認
同じ条件で月1回実施すると、伸びが見えます。
フォームの土台作り:身体の使い方とボール感覚
重心とステップワークの基本
膝・股関節を軽く曲げ、母指球の上に重心。歩幅は小さく、接地は静かに。方向転換の前にはわずかに減速し、上半身を先に向けてから骨盤→膝→足の順で回します。
- サイドシャッフル10m×4本(姿勢キープ)
- 前後パルスステップ20秒×3(重心の上下を少なく)
インサイド/アウトサイドの正確なタッチ
「当てる」ではなく「置く」。次の一歩が自然に出る角度にボールを運びます。インサイドは軽く押し出す、アウトサイドは足首を固定して斜め前に。
- インサイド連続タッチ左右各20m×2(視線は前)
- アウトサイド連続タッチ左右各15m×2(ミス2回以内)
視線とスキャンの習慣化
2〜3タッチに1回、顎を引いて目線だけで周辺をチェック。意識は「ボール7:周囲3」。
- カラーコールドリブル30秒×4(合図色へ即方向転換)
左右両足化のプロトコル
- 利き足で型作り→非利き足で回数半分
- 日替わりで先に非利き足ドリルを行う
- 週1回は「非利き足のみ」のメニュー日
ボールマスタリー:毎日10分の基礎ドリル集
足裏・インサイド・アウトサイドの連結タッチ
- 足裏ロール→インサイド押し出し→アウトサイド前進×左右10回
- 足裏V字(前内→引き戻し→反対足外)×20回
合格基準:ミス2回以内、視線は前、音が静か。
リズムチェンジ(1-2-3テンポ)
- 1(ゆっくり)→2(普通)→3(速い)を5mずつつなぐ×6本
- 3→1のブレーキ練習も3本(姿勢が起き上がらない)
狭いスペース用ホームメニュー
- その場ダブルタッチ60秒×3
- 足裏ロール左右30秒×3
- 小さな8の字ドリブル(椅子2脚)各60秒×3
ミスからの即回収トレーニング
ボールが離れた瞬間、最短2歩で回収。身体から近い側の足で触り、逆足で方向転換。
- わざと強くつく→即回収×10回×2セット
突破力を作るフェイントと加速
基礎フェイント3種(シザース/ダブルタッチ/インアウト)
- シザース:外→内の順でまたぎ、逆足で前へ。歩幅は小さく素早く。
- ダブルタッチ:イン→インでボールを体から離しすぎない。
- インアウト:同足で内→外。足首固定、最後は外へ斜め前。
各フェイントを左右各10本×2セット。合格基準は「1歩目で前を取れる角度」。
減速→方向転換→再加速の型
- 減速:3小歩でブレーキ、重心は低く
- 方向転換:外側の足で床を押す(膝とつま先の向きを一致)
- 再加速:最初の2歩は地面を強く蹴る感覚
- コーンL字ドリル(5m→90度→5m)×6本
角度別(縦/斜め/横)アタック
- 縦:タッチは大きめ、2歩で抜ける
- 斜め:相手の前を横切るコース取り
- 横:相手の足と足の間の外へ、次で前に出る
状況カード(縦/斜め/横の口頭合図)で反応ドリル30秒×6本。
フェイントの選び方と組み合わせ
- 相手が距離を詰める:ダブルタッチ/インアウト
- 相手が構える:シザース→アウト強め
- 縦を消される:横へスライド→切り返し
2手先まで決めてから実行(例:シザース→縦→守備寄る→横へスライド)。
1対1で勝つための実戦メニュー
守備者の重心を読む観察ポイント
- 膝が内側/外側に入る癖
- 足幅が広いか狭いか
- 最初に動くのは肩か腰か
観察→試す→修正の3手で、相手の弱点を早く特定します。
制限付き1v1(ライン突破/時間制限)
- 横15m×奥行10m。5秒以内にライン突破で1点。守備はボールにのみチャレンジ。
- 攻撃8本、守備8本で交代。成功率50%を目安に難易度調整。
背後スペース活用ドリル
相手の足が止まった瞬間、背後へ斜めに運ぶ。タッチは大きめに、2歩で加速。
- 縦誘い→横→背後の三角突破×左右10本
守備者2人への対処と安全なリセット
- 2人目が寄る前に早めのリリース(パス/バックで一旦外)
- サイドで詰まったらシールド→味方サポートへ
「無理をしない勇気」もドリブルスキルの一部です。
試合で効く運ぶドリブルと保持ドリブル
プレス回避のシールド技術
- ボールは遠い足、体幹を相手との間に
- つま先は逃げたい方向へ、腕で距離管理(反則にならない範囲で)
縦運びと持ち出しの加速ライン
最初の一歩でラインを超えるイメージ。タッチは足幅の外側、2〜3m先に「置く」。
味方を活かす誘いドリブル
あえて相手を引きつけ、空いた味方へ渡す。ドリブルは「引力」を作る手段でもあります。
サイド/中央での使い分け
- サイド:縦の脅威を常に見せ、内へ切る余白を作る
- 中央:最短2タッチで外へ逃がす選択肢を準備
判断スピードを上げる視野・スキャン訓練
プリスキャンのタイミング
受ける前・最初のタッチ前後で各1回。顎を引き、目だけ動かす。意識は「相手の向き」「味方の位置」「空きスペース」。
周辺視と音情報の併用
- 周辺視:視線は前、視野の端で色コーンの変化を拾う
- 音:合図や味方の声で方向決定(聞こえたら0.5秒以内に動く)
色・合図制限ゲームで判断負荷を高める
- 4色コーン反応ドリブル30秒×6(色→方向→加速)
- 二重合図(色+数字)で難易度アップ
ターン前後のスキャンルーティン
- ターン前:後方→側方→前方の順にクイックスキャン
- ターン直後:進行方向と逆サイドの再確認
段階別ロードマップ:4週間×3ブロックで上達
ブロック1(基礎定着):週次メニュー
- 頻度:週4回(各30〜45分)
- 内容:ボールマスタリー10分/ステップ&重心10分/イン・アウト精度10分/スキャン5分
- 目標:10mスラローム8.0秒以下、非利き足タッチ安定
週例メニュー例(A,Bを交互)
- A:連結タッチ→L字方向転換→色反応ドリブル→ミス即回収
- B:足裏V字→アウトサイド前進→1-2-3テンポ→簡易1v1(パッシブ)
ブロック2(突破強化):週次メニュー
- 頻度:週3〜4回(各40〜60分)
- 内容:フェイント基礎15分/減速-再加速15分/角度別アタック10分/制限付き1v110分
- 目標:1v1成功率50%超、縦・斜めの速度差を作る
ブロック3(試合適用):週次メニュー
- 頻度:週3回(各45〜60分)
- 内容:保持ドリブル10分/誘いドリブル10分/判断ゲーム15分/実戦1v1〜2v215分
- 目標:被奪取数の減少、ドリブル起点からのシュート・パス増
各ブロックの合格基準と再挑戦プラン
- 基礎定着:スラローム8.0秒以下→合格。8.1秒以上は1週延長。
- 突破強化:1v1成功率50%→合格。未達はフェイントを1つに絞って反復。
- 試合適用:被奪取/90分が自己平均-20%→合格。未達は保持とリセット判断を強化。
自主練とチーム練の組み合わせ方
週5日前後でもオーバーワークにしない負荷管理
- 高強度(1v1/連続加速)は週2〜3回まで
- 翌朝の倦怠感・関節痛がある日は強度を落とす
- 睡眠7.5時間以上を確保
ポジション別の重点(WG/CF/CM/SB)
- WG:縦運びとカットイン。角度別アタック多め。
- CF:背負い保持→反転の連携。シールド強化。
- CM:方向転換とスキャン。横へのスライド運び。
- SB:持ち出しと縦突破の判断。ライン際のリセット判断。
ウォームアップとクールダウン
- アップ:可動(股関節・足首)→軽走→タッチ精度3分
- クールダウン:心拍を落とす軽走→下肢ストレッチ→深呼吸
テスト期間・大会前の調整
- テスト期間:時間短縮(15〜20分)で基礎とスキャンのみ
- 大会前:48時間前は強度を落とし、キレを保つメニューに
ケガ予防と身体作り:成長期の注意点
足首・膝の安定化(ホップ・着地)
- 片脚ホップ前後10回×2(静かな着地)
- ドロップジャンプ(台10〜20cm)×6(膝が内へ入らない)
ハムストリングと股関節の柔軟性
- ヒップヒンジ10回×2(背中まっすぐ)
- ワールドグレイテストストレッチ左右各30秒×2
成長痛とオスグッド対応の目安
膝前面の痛みや腫れ、押すと強い痛みがある場合は無理をせず、痛みが落ち着くまでジャンプ・ダッシュを減らす判断が大切です。症状が続く、日常動作でも痛い場合は医療機関や専門家に相談してください。
睡眠・栄養・水分の基本
- 睡眠:同じ就寝・起床時刻を維持
- 栄養:主食+主菜+副菜+果物+乳製品をバランスよく
- 水分:練習前後にコップ1〜2杯、長時間練習ではこまめに補給
目標設定と記録:上達を見える化する
KPI例(10mスラローム/1v1成功率/被奪取回数)
- 10mスラローム:8.0秒→7.6秒→7.3秒のように0.3秒刻みで更新
- 1v1成功率:8本中4本(50%)を安定
- 被奪取回数:1試合あたり-20%を目標
動画での自己分析手順
- 正面と斜めから撮影(30〜60fpsでOK)
- ミス場面は「視線」「重心」「タッチ位置」を停止確認
- 成功場面の再現ポイントを3つメモ
月次レビューのやり方
- ベースラインテストを再実施
- KPIの推移を表に記入
- 翌月の重点(基礎/突破/判断)を1つに絞る
モチベ維持の仕組み
- 小さな記録更新を可視化(壁にチェック表)
- 練習前後のルーティン曲や合言葉で気持ちを切り替える
よくあるつまずきと修正法
視線が落ちる問題の直し方
- ボールにテープで小さな印を貼り、印を見ずに運ぶ練習
- 口頭合図(右/左)で方向を変え続ける反応ドリル
利き足偏重の修正
- 非利き足から練習を開始(最初の10分は必ず)
- 非利き足のみ1v1(距離短め)で成功体験を作る
スピードで暴走する癖の抑え方
- 3歩に1回のミニブレーキを入れる
- 5秒制限で「減速→判断→再加速」を組み込む
プレッシャー下でのミスを減らす方法
- シールド→リセット(バックパス/向き直し)の即決パターンを用意
- 「2手目まで事前決定」の習慣化
練習メニュー早見表とチェックリスト
屋外フルコート版
- 10mスラローム×6/角度別アタック×6/制限付き1v1×16本/2v2移行×10分
- 合格:1v1成功率50%、ミス回収2歩以内
校庭・公園の簡易版
- 5mコーン×4本で8の字→L字→色反応各3セット
- 1v1は幅12m×奥行8mで実施
室内・自宅の最小スペース版
- その場タッチ60秒×3/足裏V字×3/ミニ8の字×3
- スキャンは壁のポストイット(色合図)で代替
雨天時の代替案
- 動画分析+ノート化(成功/課題3つ)
- 体幹・可動・片脚バランス10分
根拠に基づくトレーニング原則
反復と可変練習(ブロック/ランダム)の使い分け
- ブロック練習:同じ動きをまとめて反復し、型を作る
- ランダム練習:合図や相手を加えて判断負荷を上げる
基礎→可変の順が安定して上達しやすい傾向があります。
認知-判断-実行を統合するドリル設計
色や数の合図、時間・方向制限を足すと、認知(観る)→判断(選ぶ)→実行(運ぶ・外す)がまとまって鍛えられます。
負荷と回復のバランス設計
- 高強度の翌日は基礎・フォーム中心
- 週1日は完全休養かアクティブリカバリー
成長期における安全な強度設定
身長や体重が伸びる時期は筋・腱への負担が増えやすいです。痛みが出始めたら早めに強度を下げ、継続できる軽いメニューへ切り替えるのが賢明です。
まとめ:今日から始める一歩と次のステップ
最初の7日間アクション
- Day1:ベースラインテスト(30分)
- Day2:ボールマスタリー10分+重心・ステップ10分
- Day3:イン/アウト精度+1-2-3テンポ
- Day4:休養 or 可動+動画チェック
- Day5:フェイント基礎3種×各20本
- Day6:角度別アタック+制限付き1v1
- Day7:簡易ゲーム形式+月次ノート開始
継続のコツ
- 1回15分でもOK。途切れさせない
- 「非利き足から」のルールを徹底
- 成功を動画で保存して見返す
次に伸ばすべきスキルの選び方
- 数値で遅れているKPIを1つ
- 試合で困った場面(保持か突破か)を1つ
- ポジションの要求(WG/CF/CM/SB)を1つ
この3つの交点が、次の重点スキルです。ロードマップはあくまで道標。自分の現状に合わせて、強度と順番を調整しながら進めてください。観る・運ぶ・外すを毎回の練習に落とし込み、12週間後に「試合で通用するドリブル」を自信に変えていきましょう。
