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サッカーファーストタッチ中学生向け 受けて前進するための実戦ドリル

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最初の一歩(ファーストタッチ)で前を向けるかどうかは、中学生年代の成長に直結します。この記事では「受けて前進」を当たり前にするための原理と、すぐにグラウンドで使える実戦ドリルを10本、家でもできるミニドリルまでまとめました。難しい言葉は避け、今日からまねできるコツと評価法もセットで紹介します。

目次

はじめに:ファーストタッチで『受けて前進』を習慣化する

この記事の狙いと全体像

狙いはシンプル。「止めてから考える」を卒業し、受けた瞬間に前進する選択肢を作ること。そのために、体の向き・スキャン・タッチ方向を結びつけ、状況に応じた4つの手段(ターン・受け流し・ワンツー・背後狙い)をドリルで身につけます。

前進志向のファーストタッチが試合を変える理由

  • 相手1人を置き去りにできれば数的優位が生まれる
  • 判断の先取りができ、守備に捕まらない
  • 味方のサポートが活き、パススピードも上がる

中学生年代で身につけたい判断スピードと技術の接続

  • 技術だけ、判断だけでは不十分。両方を同時に鍛える設計が重要
  • 「見る→触る→前進」を一連の流れにするトレーニングで定着

原理原則:体の向き・スキャン・タッチ方向の三位一体

体の向き(オープンボディ)の基本

  • 半身で受ける(ボールと前方の両方を視野に)
  • つま先と胸は「前進したい斜め方向」へ

スキャン(事前情報収集)のタイミングと頻度

  • ボールが来る前に2回、来る瞬間に1回が目安
  • 見るのは「DFの距離・味方の角度・空きスペース」

タッチ方向の設計図:最短で前進する角度を作る

  • 1タッチ目で相手の届かない外側へ
  • 最短距離=ゴール方向ではなく「フリーになる斜め」

原理を守るためのチェックリスト

  • 半身で待てたか
  • 受ける直前に首を振れたか
  • 1タッチ目で前進角度を作れたか

受け方の基礎:足の面の使い分けとボールと身体の距離感

インサイド・アウトサイド・インステップ・足裏の役割

  • インサイド:正確に方向づけ
  • アウトサイド:素早く外へ逃がす
  • インステップ:前へ運ぶ推進力
  • 足裏:狭い局面の止めとズラし

最初の触り方で次のプレーを決める『方向づけコントロール』

  • 止めずに動かす。次のプレーが楽になるように置く
  • 相手の逆を触る(右へ寄せられたら左アウトで前)

身体とボールの最適距離(腕一本分の基準)

  • 腕を伸ばして触れる距離=加速とシールドの両立

浮き球・バウンド球への初期対応

  • 面を柔らかく傾け、落下点の一歩前で触る
  • 最初の接地で前方向の角度を作る

意思決定のフレーム:ターン・受け流し・ワンツー・背後狙い

DFの位置と速度で決める4択の優先順位

  • 背中が空く→ターン
  • 寄せが速い→受け流し(ワンタッチで逆へ)
  • 味方が近い→ワンツー
  • 裏のスペース広い→背後狙い

“前を向ける条件”の見分け方

  • 自分とDFの間に「1歩分の空白」→ターン可
  • DFの重心が片足→逆へ方向づけ

味方サポート角度の読み方

  • 受け手の斜め前45度に1人を作ると前進が楽

判断を速める合言葉(トリガーワード)

  • 「見た!斜め!前!」で習慣化

ドリルの使い方:セットアップ・負荷設定・評価の基準

安全に行うための準備物とスペース

  • マーカー、ミニゴール、ビブス、ボール2〜3球
  • 接触ルールを事前共有(背後からの無理な接触禁止)

負荷のかけ方(時間・人数・プレッシャー)

  • 無圧→片側圧→両側圧→数的同数へ段階的に
  • 作業時間30〜60秒、休息同等が目安

技術と判断のバランスをとる進行方法

  • 技術固定→判断入り→ゲーム化の順

成果を可視化する評価指標(前進成功率・タッチ数・スキャン回数)

  • 前進成功率=前進できた回数/受けた回数
  • 1プレーあたりのタッチ数
  • 受ける前のスキャン回数

ドリル1:ゲートターン連続(スキャン→方向づけで前進)

目的と到達目標

  • 半身+スキャン→1タッチで前進角度を作る

コート設定とルール

  • 直径12〜15mの円、ゲート(コーン2本)を4つ
  • ボール保持で連続してゲートを通過

実施手順(段階的進行)

  • 無圧で連続ターン→パッサー追加→DF1人追加

コーチングポイント(体の向き・最初のタッチ)

  • 受ける前の半身、タッチはゲートの外側へ

発展・簡略バリエーション

  • 弱足限定、タッチ2回以内制限

評価基準と記録方法

  • 30秒での通過数、スキャン回数

よくあるエラーと修正法

  • 体が閉じる→受ける前に斜めへ小さく動く

ドリル2:カラーコール受け直し(情報→選択→実行の加速)

目的と到達目標

  • 音情報で瞬時に方向づけを変える

コート設定とルール(色コールの出し方)

  • 4色コーンを十字に配置、コーチが色をコール

実施手順(反転・方向転換の条件づけ)

  • パス→コール→指定色へ1タッチ方向づけ

コーチングポイント(視線とスキャン頻度)

  • パスの出る直前と接触直前に首を振る

発展・簡略バリエーション(コールの遅延・フェイク)

  • 遅延コール、ダブルコール、フェイクコール

評価基準と記録方法

  • 反応時間、指定方向の成功率

よくあるエラーと修正法

  • 止めてから方向を変える→1タッチでズラす制限

ドリル3:プレッシャー付き壁パス受け前進(対人圧への耐性)

目的と到達目標

  • 寄せられても半身で前進角度を作る

コート設定と役割分担(パッサー・DF・レシーバー)

  • 壁役(人or壁)、レシーバー、DF1人

実施手順(片側圧→両側圧)

  • 壁パス→受け→前進、DFは遅れて寄せ→同発進

コーチングポイント(腕の使い方・遮断とシールド)

  • 腕と肩でラインを作り、ボールは外側へ

発展・簡略バリエーション(接触強度・時間制限)

  • 接触強度を段階化、3秒以内前進

評価基準と記録方法

  • 前を向けた割合、奪取されない率

よくあるエラーと修正法

  • ボールが体から離れる→腕一本分の距離を声かけ

ドリル4:1対1+ターゲット(受けて前を向くまでを勝負にする)

目的と到達目標

  • 背中で受け→ターン→前進で得点

コート設定と得点方法(前進で得点)

  • 10×15m、背中受けスタート、ターゲットライン通過で得点

実施手順(背中受け→ターン→前進)

  • パス→背負い→方向づけ→突破

コーチングポイント(半身・内側足タッチ)

  • 内側足で相手から遠い外へタッチ

発展・簡略バリエーション(制限タッチ・限定面)

  • 2タッチ以内、アウトサイド限定など

評価基準と記録方法

  • 突破成功/試行、奪取までの時間

よくあるエラーと修正法

  • 背中が丸くなる→膝と股関節を曲げ重心を低く

ドリル5:2対1での前進レシーブ(サポート角度と一発前進)

目的と到達目標

  • 引きつけ→方向づけ→前進orワンツー

コート設定と役割(誘い・解放)

  • 8×12m、パサー・レシーバー・DF

実施手順(固定DF→移動DF)

  • DF固定→ライン読み→移動DFへ発展

コーチングポイント(引きつけてからの方向づけ)

  • DFを1歩寄せてから逆へ

発展・簡略バリエーション(タッチ制限・時間制限)

  • 2タッチ以内、5秒以内でゴール

評価基準と記録方法

  • 前進成功率、ワンツー成功率

よくあるエラーと修正法

  • 味方に近づきすぎ→斜め45度の距離を合図

ドリル6:4対2ロンド『脱出口』意識(角度で前進ルートを作る)

目的と到達目標

  • 受ける前の移動で前進ゲートを作る

コート設定(ゲート=脱出口)

  • 12×12m、外4人内2人、2か所に脱出口ゲート

実施手順(外周限定→自由移動)

  • 外周固定→1人自由→全員自由

コーチングポイント(受ける前の斜め移動)

  • パスが動く前に半歩ずらす習慣

発展・簡略バリエーション(2ゲート制・守備の制限)

  • 守備はインターセプトのみ可→通常守備へ

評価基準と記録方法(脱出成功回数)

  • 1分間の脱出回数、カット数

よくあるエラーと修正法

  • 足元静止→常に小さく動いて視野確保

ドリル7:ハーフスペース受け→前進パターン(実戦的ポジショニング)

目的と到達目標

  • ライン間で背中受け→オープンターン

コート設定(ライン間・ハーフスペースマーク)

  • 縦20×横15m、中央にライン間ゾーン

実施手順(背中で受け→オープンターン→前進)

  • 外→中→前の連続3アクション

コーチングポイント(背後の確認と体の向き)

  • 受ける直前に背後チェック、受けは半身

発展・簡略バリエーション(片側圧・数的同数)

  • 片側からDF追加→同数ミニゲームへ

評価基準と記録方法

  • ライン間で前を向けた回数/試行

よくあるエラーと修正法

  • 足元で受ける→受ける前に斜めに外す動き

ドリル8:背負って受けるオープンターン&シールド(接触下の方向づけ)

目的と到達目標

  • 接触を受けながら安全に前を向く

コート設定(背後からの接触想定)

  • 8×8m、レシーバー背後にDF1人

実施手順(チェック動作→逆タッチ→前進)

  • 前へチェック→戻り受け→逆へタッチ

コーチングポイント(軸足の向き・腕と臀部の使い方)

  • 軸足は斜め前、腕とお尻で相手をブロック

発展・簡略バリエーション(連続ターン・受け流し)

  • 左右連続ターン、受け流しから前進

評価基準と記録方法

  • 奪われずターン成功率、接触後の前進距離

よくあるエラーと修正法

  • 真後ろを向く→半身キープの声かけ「斜め!」

ドリル9:浮き球・バウンド球コントロール(難球で前を向く)

目的と到達目標

  • 難しいボールでも1〜2タッチで前進角度を作る

コート設定(サーバーとレシーバー)

  • 7〜10m間隔、手投げorキックで供給

実施手順(ワンタッチ落とし→二タッチ前進)

  • 面を傾けてソフトタッチ→前方向へ運ぶ

コーチングポイント(面の傾き・衝撃吸収)

  • 足首固定+膝でクッション、前へ角度を付ける

発展・簡略バリエーション(逆足限定・スピード付与)

  • 逆足限定、スピードを上げた供給

評価基準と記録方法

  • 2タッチ以内で前進成功率

よくあるエラーと修正法

  • 弾く→タッチ直前で力を抜く合図「ふわっ」

ドリル10:ビルドアップでの受け方(実戦配置での前進)

目的と到達目標

  • GK→DF→MFの連携で安全に前進

コート設定(GK-DF-MFの三ライン)

  • 縦30×横25m、3ラインをマーカーで区切る

実施手順(サイド→内→前進の連続性)

  • サイドで引きつけ→内→前へ縦付け

コーチングポイント(角度と距離・体の半身)

  • 受けは半身、角度は45度、距離は8〜12m目安

発展・簡略バリエーション(ハイプレス想定)

  • 守備2〜3人追加、時間制限10秒

評価基準と記録方法(前進回数とミスの内訳)

  • 前進回数/セット、ミスの種類(技術/判断)

よくあるエラーと修正法

  • 同じ列で受ける→ズレる動きの合図「縦にずらす」

自宅でできるミニドリル(狭いスペースでの方向づけ)

壁当て前進タッチ(3種の面)

  • インサイド→前、アウト→外へ、足裏→手前ズラし

足裏→アウト→インの連続方向づけ

  • 3タッチ連続で角度を変え、最後は前へ運ぶ

カラーコール代替(タイマーと声かけ)

  • スマホのビープ音で左右を切り替え

安全面と頻度の目安

  • 1回5〜8分、週3〜5回、周囲の安全を確保

よくあるミスと修正キュー(短い言葉で即改善)

体が閉じる→『斜め!』

半身を思い出す合図。受ける前に半歩ずらすと自然に斜めになる。

止めてから考える→『触りながら決める!』

ボールが足に触る瞬間に方向を決める意識を定着。

ボールが体から離れる→『腕一本キープ!』

腕一本分の距離で加速とシールドを両立。

スキャン不足→『見て、止めて、見る!』

到来前と接触直前の2回を習慣化。

学年別の負荷調整と段階的学習(中1→中3)

中1:基本面と体の向きの定着

  • 無圧ドリル中心、弱足多め、反復量を確保

中2:対人圧と判断速度の向上

  • 片側圧→両側圧、カラーコール導入、時間制限

中3:ゲームモデルへの適用と再現性

  • ビルドアップ配置、ロンドからの脱出KPI化

逆足強化と反復量の目安

  • 逆足比率50%以上、合計タッチ数100〜200/日

親・指導者の関わり方と言語化(フィードバック設計)

観察ポイント(体の向き・タッチ方向・視線)

  • 受ける前の半身、首振り、初回タッチの角度

短いキューで行動を促す声かけ例

  • 「斜め!」「先に見て!」「触りながら!」

成功体験の記録と振り返りの習慣

  • 前進成功回数、短い動画、1行メモ

過度な指示を避けるためのルール

  • 1プレー1キュー、良かった点を先に伝える

メンタルとルーティン:落ち着いて前進を選ぶ習慣作り

プレー前の呼吸と視線リセット

  • 鼻から2秒吸って口から4秒吐く→首振り

ミス後3秒ルール(次アクション優先)

  • 3秒で切り替えて再ポジション

自信を支える小目標設定

  • 「スキャン10回」「前進5回」など具体的に

試合前の確認ルーティン(3チェック)

  • 半身・視線・最初のタッチ角度

4週間練習計画サンプル(技術→判断→対人→試合)

Week1:基礎面・体の向き・方向づけ

  • ドリル1・自宅ミニ、逆足強化

Week2:スキャン強化と色コール系

  • ドリル2・6、スキャン回数を記録

Week3:対人圧とロンドでの前進

  • ドリル3・4・5、時間制限導入

Week4:実戦配置と評価テスト

  • ドリル7・10、指標の振り返りと課題設定

成長の見える化:チェックリストと計測方法

前進成功率・スキャン回数・初回タッチ方向の記録法

  • 各ドリルで成功/試行、スキャン回数をカウント

動画撮影で確認すべき3ポイント

  • 受ける前の半身、首振りの回数、1タッチ目の角度

月次振り返りシートの作り方

  • KPI、気づき、次月の1テーマを1枚に

数値だけに偏らない注意点

  • 良い判断のプロセスを言語化して残す

ポジション別の受け方の要点(SB・IH・FW)

サイドバック:縦向きの初回タッチ

  • 外足アウトで縦へ、内に誘って外を使う

インサイドハーフ:ライン間で半身の習慣

  • 体は常に斜め、ワンタッチ前進を狙う

センターフォワード:背負い→オープンターン

  • 腕と臀部でシールド、内→外の逆タッチ

ユーティリティ向け共通原則

  • 半身・スキャン・方向づけの三位一体

用語ミニ解説(中学生でもわかるキーワード集)

オープンボディ

半身で受け、前とボールを同時に見られる体の向き。

方向づけコントロール

止めずに次のプレーへ動かす最初の触り方。

スキャン

ボールが来る前に首を振って情報を集めること。

シールド

腕・肩・お尻で相手とボールの間に壁を作ること。

まとめ:『受けて前進』を試合の当たり前にする

今日から取り入れる3つの行動

  • 受ける前に首を2回振る
  • 半身で待ち、1タッチ目で斜め前へ
  • 練習後に「前進成功数」をメモ

継続のコツ(短く・頻度高く・振り返る)

  • 1セット短く、回数を増やす。動画とメモで習慣化

次のステップ(対人強度と試合適用)

  • 無圧→片側圧→両側圧→配置付き。試合で同じ判断を再現

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