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サッカー ドリブル 高校生 向けに試合で抜ける練習法を厳選

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サッカー ドリブル 高校生 向けに試合で抜ける練習法を厳選

試合で1人かわす。そこから一気に前進して決定機をつくる。高校生になると、体格差や守備の約束事がはっきりしてきて、小手先だけでは抜けません。この記事では「スキル×意思決定=抜ける」にこだわって、試合で使えるドリブル練習を厳選して紹介します。すべて一人でもチームでも取り組める内容で、セットアップ・回数・評価指標まで具体的にまとめました。今日の自主練から使える実践書としてどうぞ。

導入:高校生が試合で抜けるドリブルとは何か

スキルと意思決定の掛け算で決まる『抜く』の再定義

「抜く」は、相手の守備可動域を外し、前進またはシュート・パスにつながる優位を作ることです。足技だけでは不十分。認知(見る)→判断(選ぶ)→実行(やる)が噛み合って初めて“抜ける”になります。逆に、技術が高くても、相手やカバー位置を見ずに仕掛ければ成功率は落ちます。この記事では、技術と判断を同時に上げる方法に絞ります。

中学年代との違い:強度・間合い・守備戦術の進化

  • 強度:接触の重さとスプリント回数が増える。減速・再加速の質が勝負を分ける。
  • 間合い:DFは一歩分を短く詰めてくる。ボールと身体の距離管理がシビア。
  • 守備戦術:縦切り/内切りの明確化、カバーシャドウの活用が進む。スキャンの重要性が増す。

『試合で抜ける』を数値化する評価指標(成功率/前進距離/失陥)

  • 1対1成功率:仕掛け回数に対する突破成功の割合(例:8/15=53%)。
  • 前進距離:突破後に運べた距離(メジャーで5m単位でもOK)。
  • 失陥率:仕掛けがターンオーバーにつながった割合。チームのリスク管理に直結。
  • 加減速時間:0→トップスピード、トップ→0の時間(動画のフレームで計測)。

主観的な「今日は抜けた」だけでなく、この3つ+加減速を記録すると、練習の効きが見えます。

この記事の使い方と練習の全体像

原理→タイプ別攻略→技術ドリル→認知ドリル→対人→戦術の流れで読み進めてください。週2〜4回のプランも載せています。気になるセクションから飛んで、最後に「計測」と「まとめ」で計画に落とし込みましょう。

まず押さえる原理原則(認知・姿勢・タッチ・加減速)

スキャン(首振り)の頻度とタイミング

  • 目安:ボールが自分に来る前に2回、ファーストタッチ前に1回、仕掛け直前に1回。
  • 見るもの:DFの利き足/身体の向き、カバーの位置、スペースの空き。
  • 練習キュー:「ボール→周囲→ボール」のリズムで視線を往復させる。

半身とオープンスタンスで前を向く準備

受ける時は利き足前の半身で相手とゴールの両方を視野に入れる。足はやや外に開いて、いつでも縦にも内にも出せる角度を確保。これだけで仕掛けの初速が上がります。

タッチ数と歩幅の最適化:ボールと身体の距離管理

  • 運ぶドリブル:3〜4歩に1タッチ(スペース大)。
  • 仕掛け直前:1〜2歩に1タッチ(密度高)。
  • キュー:「足元ではなく進行方向1歩先を触る」。

減速→方向転換→再加速の三拍子を磨く

抜けない原因の多くは減速不足。まず止まる→角度を変える→もう一度加速、の三拍子を意識。ブレーキ脚(多くは軸足)の外側荷重を使って速く止まる練習を入れましょう。

守備プレッシャー別のボール保持角度

  • 遠いプレッシャー:ボールは前方30〜45度に置き、スピード優先。
  • 近いプレッシャー:ボールを体とDFの間に隠し、接触に耐えながら角度作り。
  • 背後カバーあり:外側に角度をつけ、内に切る際は体を先に入れる。

守備者のタイプ別1対1攻略

縦を切るDFへの打開(カットインの質と逆足誘導)

  • 狙い:縦レーンを閉じられたら、DFの遠い足側へカットイン。
  • キュー:外への見せ→ボールはインサイドで内へ、肩を落として重心を先に動かす。
  • 逆足誘導:あえて縦に一歩見せ、DFを縦足立ちにさせてから内へ。

中を切るDFへの打開(縦突破の角度と体の入れ方)

  • 狙い:外45度へ運び、並走になったタイミングで体を入れてラインを取る。
  • キュー:アウトサイドで2連続タッチ→外側の肩を前に出す→DFの進路を体でブロック。

待ち型/アタック型の見極めと初手の選択

  • 待ち型:スピードに弱い。距離を詰められる前に一気に加速。
  • アタック型:フェイントに強いが飛び込む。ストップ&ゴー、ダブルタッチが有効。

カバーの位置・距離を読むスキャンのコツ

仕掛け直前に背後の影(カバーシャドウ)を確認。カバーが近いなら「半抜き→パス」も勝ち。遠いなら「完全突破」狙い。選択を前もって決めると判断が速くなります。

高校生向け:目的別ドリブル練習法の厳選メニュー

基礎ボールマスタリー(イン/アウト/足裏/ロール)

セットアップ

マーカー4つで2×2mの四角を作り、中で30〜60秒間の連続タッチ。

メニュー

  • イン/アウト交互タッチ(左右各2セット)
  • 足裏ストップ→ロール(左右各2セット)
  • アウトサイド連続(左右各2セット)

ポイント

視線はマーカーと周囲。ボールはつま先の前に置き、足首の柔らかさで運ぶ。

ストップ&ゴー:減速の質で勝つ

セットアップ

10mライン。5m地点にマーカー。

やり方

  • 0〜5m加速→5mで完全停止→瞬時に再加速(10本×2セット)
  • ボール有/無を交互に行い、停止距離を同じにする。

評価

動画で停止までの歩数を数える(短いほど良い)。

切り返し3種(イン→アウト/アウト→イン/ダブルタッチ)

セットアップ

コーンを3m間隔で5本。各コーンで指定ターン。

回数

往復3本×3セット。ミス1回=+1コーンのペナルティで集中力を維持。

キュー

踏み込みは深く、視線は進行先を見る。体から動かし、最後にボール。

フェイント(シザース/ステップオーバー/ドロップショルダー)

セットアップ

1対マネキン(コーン)。1.5〜2mの間合いで開始。

やり方

  • シザース2拍→アウトで外へ。
  • ステップオーバー→内へ切る。
  • ドロップショルダー(肩落とし)→逆方向へ一歩で離す。

ポイント

「大きな体の嘘→小さなボールの触り」。肩・骨盤・視線で先に騙す。

運ぶドリブルと角度作りの反復

セットアップ

15mの直線と、終点に45度のゲート(幅2m)。

やり方

10mまでは運ぶドリブル(3〜4歩1タッチ)→残り5mで角度を作ってゲートを通過(1〜2歩1タッチ)。左右10本ずつ。

タイトスペース脱出(足裏ピボット/スクープ/V字)

セットアップ

1.5×1.5mの四角。DF役が軽く圧をかける(手は使わない)。

やり方

  • 足裏ピボット:軸足回転で出口を作る。
  • スクープ:足先で軽く持ち上げる→体ごと方向転換。
  • V字:足裏→インサイドのVタッチで逆を取る。

認知と判断を鍛える制約ドリル

カラー/ナンバーコールで視野を広げる

やり方

コーチ(または味方)が「赤/青」「1/2」などコール。仕掛け直前のスキャンで確認→指示方向へ抜ける。10回×3セット。

狙い

足元視→周囲視の切替速度を上げる。

スキャン回数カウントゲーム(前→横→後)

やり方

10秒間の運ぶドリブル中に、前→横→後の順で首振りを1サイクル。1セットで3サイクルを目標。

記録

動画で首振り回数とタイミングを可視化。

1対1レーン制限(縦/内/外)の選択トレーニング

やり方

コートに3レーンを引き、笛で有効レーンを指定。プレーヤーは指定外に出ないルールで1対1。5本×3セット。

狙い

「選択してから実行」を素早く行う癖付け。

2対2のサポート付き仕掛け(壁パス/リターン)

やり方

ハーフスペースで2対2。縦突破/内カット/壁パスの3択。守備はライトカバーを置く。1本15秒の勝負を6本×2セット。

時間・タッチ制限での意思決定速度向上

やり方

8秒以内にゲート通過、かつタッチは10回以内、といった制約をかける。負荷を段階的に上げる。

実戦直結の対人メニュー

サイド1対1(縦突破→クロス/カットイン→シュート)

セットアップ

サイドライン沿いに20mのレーン。終点にクロスゾーンとシュートゾーンを用意。

やり方

コーチの合図で縦/内のどちらかを指定→突破後は即クロスまたはシュート。左右各5本×2セット。

中央1対1(半身受け→前進、背負い→反転)

やり方

背中にDFをつけて受ける→半身にずらして前進、またはワンタッチで反転。5本×3セット。

ハーフスペースでの仕掛けと出口の確保

縦と内の二択を常に提示。カバーが内なら縦へ、縦が閉じれば内→外への二段階。出口のゲートを2つ用意して選択の癖をつける。

同数/数的不利での仕掛け選択とリスク管理

  • 同数:半抜きOK。引きつけ→味方へ。
  • 不利:仕掛けは外側へ。ロスト時の被カウンターを最小化。

ポジション別に最短で効く仕掛けパターン

ウイング:縦と内の二択を高速で提示する

初手はアウト2連で縦ストレート、肩を落とした瞬間に内カット。クロスとシュートのフォームを似せて“読ませない”のがコツ。

センターフォワード:背負いからの半身ターン

背中で受け→ボールを遠い足に置く→DFの重心が寄った瞬間にアウトで反転。ペナルティ内はファールも狙いに入れる。

サイドバック:運びとオーバーラップの使い分け

1stタッチで内に運べるなら運ぶ。閉じられたら味方を追い越して縦加速。スピードに乗ったシンプルなアウトタッチが有効。

インサイドハーフ:圧力下の前進と角度変換

受ける前に半身確保→足裏ピボットで角度を作り前進。相手のカバーシャドウを外しながらライン間でボールを守る。

身体能力を伸ばす補強とフットワーク

加速力(5m/10m)を上げるドリル

  • スタンディングスタート5m×6本、10m×6本(レスト40〜60秒)
  • 前傾角度は約45度、最初の3歩は大きく強く。

減速・ブレーキの筋力(ハム/臀筋/内転筋)の強化

  • ノルディックハム×6〜8回×3セット
  • ヒップヒンジ(ルーマニアンDL)×6〜8回×3セット
  • コペンハーゲンプランク(内転筋)左右各20秒×3

角度別カット(45°/90°/135°)のアジリティ

マーカーで角度を作り、角度ごとに減速→切り返し。各角度5本×2セット。動画で足の接地回数をチェック(最小で曲がる)。

ラダー/コーディネーションを目的別に使う

  • 目的:接地の速さ→ラダーを短時間(5分)。
  • 目的:リズムと上半身連動→メトロノームに合わせて実施。

足首・股関節のモビリティで可動域を広げる

  • 足首:膝つま先前方可動(壁ドリル)左右各60秒。
  • 股関節:90/90ストレッチ、ワールドグレイテストストレッチ各2周。

週2〜4回で回す練習プラン例(4週間サイクル)

セッション設計:WU→技術→認知→対人→ゲーム

  • WU(10分):モビリティ+軽いスプリント
  • 技術(15分):基礎マスタリー+切り返し
  • 認知(10分):カラーコール/レーン制限
  • 対人(15分):1対1/2対2
  • ゲーム(10分):制約付きミニゲーム

漸進性と疲労管理(RPE/睡眠/学業との両立)

主観的運動強度(RPE)6〜7を目安に、週末試合は前々日にピーク、前日はRPE4程度。睡眠は7時間以上を目標。

部活・クラブの練習への組み込み方

チーム練の前後に各10〜15分。前は技術と加速、後は認知ドリルと可視化の記録(動画/ログ)をセットで。

休養と超回復、試合週の調整法

筋肉痛が強い日はドリブルのタッチ強度を下げ、認知やフォームにフォーカス。試合前日はストップ&ゴーの本数を半分に。

よくある失敗と修正キュー

ボールを見すぎる→視線のルールを決める

「2タッチに1回は周囲を見る」を合言葉に。ボールは視野の下端で捉える。

減速不足→『止まる勇気』とブレーキの意識

ストップの歩数を決める(2歩以内)。止まれたら勝ち、から始めると質が上がる。

間合いが遠い/近い→基準距離の再設定

1.5〜2mで仕掛け開始。遠ければ近づく、近すぎればフェイクで一歩離す。

フェイントがバレる→前兆の消し方と体の向き

踏み込み前の小刻みタッチを減らす。肩・骨盤の向きを大きく使い、ボールタッチは小さく速く。

計測と可視化で成長を実感する

ドリブルTT(スラローム/ジグザグ)の作り方

コーンを2m間隔で6本(スラローム)。2本タイム計測×3本、ベストと平均を記録。週1回で推移を確認。

ボール有無スプリント差の記録と解釈

10mの無→有のタイム差が0.3秒以内なら良好。差が大きい場合はタッチピッチを見直す。

1対1成功率/ターンオーバー率/前進距離のログ化

メモアプリで試合ごとに3指標を記録。目標は「成功率50%超」「失陥率20%未満」。

スマホ動画での自己分析手順(角度/スロー/タグ)

  • 角度:正面と横の2カメ(できる範囲で)。
  • スロー:0.5倍で加減速と接地を見る。
  • タグ:仕掛け種類(縦/内/壁)と結果(成功/失敗)をコメントで残す。

試合で『仕掛ける』を選ぶ戦術的ヒント

仕掛ける/つなぐの判断基準(スキャン→優位→実行)

スキャンで優位(スペース/姿勢/数的)を確認→1つでも優位ありなら仕掛けOK。なければワンタッチでつなぐ。

味方サポートを呼ぶ声と角度作り

「壁」「ワンツー」「裏」の短いキーワードで要求。斜めのサポート角度が1対1成功率を上げる。

2nd DF(カバー)の予測と保険の置き方

カバーが近い側とは逆に仕掛け、ロスト時に味方が拾える位置関係を作る。保険の置き方も技術です。

ファールをもらう技術とボールロストの許容範囲

体を入れて前にボールがある状態で接触を受けると、ファールを得やすい。ロストは敵陣で、中央より外側が理想。

親・指導者の関わり方

練習の安全管理と声かけの質

足場/シューズ/体調を確認。声かけは「結果」より「プロセス」(視線、減速、姿勢)を褒める。

目標設定(短期/中期)とフィードバックの頻度

  • 短期:今週はストップ&ゴー20本/日。
  • 中期:1対1成功率+10%を4週間で。
  • 振り返り:週1で動画+簡単なメモレビュー。

過度な指示を避ける観戦と振り返りの支援

試合中は指示を最小限に。試合後に「何が見えた?」と問い、本人の言葉を引き出す。

ケーススタディ:練習から試合までの変化

3週間の改善例(指標と動画の前後比較)

  • 週1:基礎とストップ&ゴー中心。加減速のスムーズさが改善。
  • 週2:認知ドリル追加。スキャン回数増、判断が速く。
  • 週3:対人と戦術。1対1成功率が35%→52%へ(例)。

停滞時のチェックリスト(技術/認知/体力)

  • 技術:タッチピッチが乱れてない?
  • 認知:スキャンの数とタイミングは?
  • 体力:睡眠/疲労で加減速が落ちてない?

テスト期間や大会期の負荷調整と維持メニュー

時間がない日は「切り返し10分+スキャンゲーム5分+可視化3分」の時短セットで維持。

よくある質問(FAQ)

身長や体格が小さいと不利?強みに変えるには

低重心は減速と方向転換で有利。ストップ&ゴーとタイトスペース脱出を武器にしましょう。

まず覚えるべきフェイントはどれ?

ダブルタッチとドロップショルダー。シンプルで再現性が高く、どのレベルでも効きます。

人工芝と土でのドリブルの違いと対応

人工芝はグリップが強く止まりやすい→足首に優しく。土は滑りやすい→減速距離を長めに取り、接地を丁寧に。

スパイク・トレシューの選び方(接地とグリップ)

人工芝はTF/AG、土はHG/TFが無難。かかとが浮かないサイズを選び、ラウンドスタッドは減速・方向転換のバランスが良いです。

用語集と参考リソース

用語ミニ辞典(認知/間合い/半身/カバーシャドウ等)

  • 認知:周囲状況を把握すること(スキャン)。
  • 間合い:仕掛ける距離感。1.5〜2mが目安。
  • 半身:体を斜めにして前後を同時に見られる姿勢。
  • カバーシャドウ:守備者の背後の守備圧のこと。

参考になる研究・映像の探し方と活用法

  • キーワード例:「soccer scanning」「1v1 dribble acceleration」。
  • 映像はスローで接地・肩の向きを確認。自分の動画と比較する。

自主練チェックリスト(週次/月次レビュー)

  • 週:ストップ&ゴー本数、スキャン回数、1対1成功率。
  • 月:ドリブルTTタイム、ボール有無スプリント差、前進距離の中央値。

まとめ:高校生が試合で抜くための最短ルート

ドリブルは「技術」だけでも「根性」だけでも伸びません。見る→選ぶ→やるを分解し、減速と再加速を磨き、タイプ別に攻略する。さらに、数値で振り返って調整する。この流れを週2〜4回で回せば、3週間で手応えが出てきます。今日の練習は、ストップ&ゴー10本と切り返し3種、カラーコール5分から。小さな積み重ねが、試合の1回の突破を生みます。次の週末、ピッチで答え合わせをしましょう。

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