トップ » 練習 » サッカー U-10 1対1 攻守 指導で差がつく練習メニュー

サッカー U-10 1対1 攻守 指導で差がつく練習メニュー

カテゴリ:

U-10年代の「1対1(攻守)」は、技術の土台だけでなく、判断・自信・競争心までを丸ごと育てる最短ルートです。本記事「サッカー U-10 1対1 攻守 指導で差がつく練習メニュー」では、低学年でも安全かつ楽しく取り組める、差がつく練習メニューと指導のコツを丁寧に解説します。高校生以上のプレーヤーや指導者、そしてサッカーをするお子さんを支える保護者の方が、そのまま現場で使えるように具体的な距離・時間・声かけ・評価基準まで踏み込みました。今日の練習からすぐに試せる内容です。

イントロダクション:この記事の目的と想定読者

記事の狙い(U-10向け1対1指導の具体化)

狙いは、U-10年代に最適化した1対1(攻守)の練習とコーチングの「具体」を提供することです。抽象論ではなく、コートサイズ、制約のかけ方、声かけの言葉、進行例まで手元に残る形でまとめています。

想定する読者(高校生以上の指導者・保護者・コーチ)

・小学生年代を教えるコーチや高校生以上の選手(サポート役として)
・ご家庭でお子さんと一緒にボールを蹴る保護者の方
・部活動・クラブチームの学年担当者

この記事で得られること(練習メニュー・指導のコツ・進行例)

  • 安全かつ効果的な1対1攻守メニューのセット
  • 年齢発達に沿った難易度調整法とフィードバック例
  • 60分セッションのタイムラインと評価の仕方

U-10(低学年)の発達特性と1対1指導の基本認識

身体・運動発達の特徴(バランス・敏捷性・持久性)

  • バランスや敏捷性は伸ばしやすい時期。短い全力運動の反復に適する。
  • 持久性はまだ発展途上。高強度は短時間+こまめな休息が安全。
  • 骨・関節への過負荷は避ける。接触プレーはフォームとタイミングを重視。

認知・判断力、集中力の発達段階

  • 注意の持続は短め。ルールはシンプルに、説明は30秒以内、やって見せる。
  • 色・数・合図など即時理解できるキューが有効。

プレー意欲・成功体験の重要性

「できた!」の積み重ねが自己効力感を育てます。初回は成功率60~70%を目標に設定。勝敗だけでなく「良い狙い」を褒めることで挑戦が増えます。

安全性と年齢に応じた負荷設定

  • ワーク:レスト比は1:2を目安(全力10秒→休息20秒など)。
  • 接触・タックルは段階導入。まず距離・角度・体の向きから。
  • 熱中症・低体温・転倒に注意。場の危険物は除去。

1対1(攻守)が育てるスキルと育成目標

攻撃側に求められる技術と判断(ドリブル・フェイント・リズム)

  • 技術:アウト・インの切り返し、足裏ストップ、シザースなど基本フェイント。
  • 判断:間合いの管理(1.5~2mで仕掛け)、加減速の使い分け、相手の重心を見る。
  • リズム:速い→遅い→速いの三拍子でズレを作る。

守備側に求められる技能(ポジショニング・プレス・切り返し)

  • 体の向き:半身のステンスで内側を守る。
  • 距離:腕一本分~半歩の間合いでフェイクに反応しすぎない。
  • 足運び:クロスステップよりサイドステップ中心、出足は小さく速く。

ゲーム理解・スペース認識・切り替えの養成

1対1は「前進 or 方向転換」「奪う or 遅らせる」の二択判断を高速で繰り返す最良の教材です。奪取後3秒で前進を狙う「3秒ルール」を組み込むとトランジションが磨かれます。

短期目標と長期目標の設定例(U-10向け)

  • 短期(4週間):片足アウト→インの方向転換で前進成功率50%以上。
  • 中期(3か月):1対1での守備成功(遅らせ or 奪取)平均2回/ゲーム。
  • 長期(1年):仕掛けの型(スピード、フェイント、角度)を3種類使い分け。

指導の基本原則(U-10の1対1で差がつくコーチング)

成功体験を重ねる設計(難易度調整・達成しやすい目標)

  • 距離を短く、守備の制約(片足だけ、追いかけのみ)で最初の成功を保証。
  • 目標は「シュートまで行く」「コーンラインを越える」など明確に。

シンプルな指示と具体的なキューワード

  • 攻撃: 「半歩ズラす」「相手の腰を見る」「速-遅-速」
  • 守備: 「内側消す」「足は小刻み」「奪えない時は遅らせる」

反復より『質のある反復』を重視する理由

10回雑にやるより、3回の全力+振り返りが効果的。各レップに「ねらい」を1つだけ持たせます。

ポジティブ強化と即時フィードバックの使い分け

  • 即時:動作後3秒以内に短い称賛。「いまの減速うまい!」
  • 遅延:セット間で1点だけ修正。「次は間合い半歩近く」

準備(ウォーミングアップと基礎技術の確認)

年齢相応のウォームアップ(動的ストレッチ・アジリティ)

  • 5分:スキップ、サイドシャッフル、ツイストラン。
  • 5分:カラーマーカー反応(コーチの色コールで踏む)。

ボールタッチと方向転換の基礎ドリル(短時間で効果的)

  • 足裏ロール→アウト・イン→Vターン(各30秒×2)。
  • 8mグリッドで「減速→方向転換→再加速」を反復。

コート設定と用具(コーン・ミニゴール・マーカー)の配置例

  • 1対1レーン:幅6~8m×長さ12~15mを2~3レーン。
  • 用具:コーン20個、マーカー20枚、ミニゴール2基、ボールはU-10なら4号が一般的。

ケガ予防と安全チェック

  • ピッチの凹凸・濡れ・障害物確認。紐・すね当て・靴のフィットを最初にチェック。
  • 高温時は水分休憩をこまめに(5~10分ごと)。

攻撃側の1対1練習メニュー(低学年向け)

基礎:1対1(短い距離)でのボール保持と方向転換

設定:幅6m×長さ10m、攻撃は手前、守備は3m後方スタート。合図で開始。
狙い:減速の質と方向転換の速さ。
コーチング:視線は相手の腰、触る回数を少なく大きく運ぶ。
成功基準:3回中2回はライン突破。
バリエーション:攻撃のみ2回タッチで加速→守備は並走のみ。

フェイント練習の分解(ステップ、アイコンタクト、間合い)

やり方:静止状態からシザース→逆アウトで一歩突破。
キュー:「半歩ズラす」「顔だけ先に出す」「触る→運ぶ」。
制約:フェイントは1回のみ。相手に近づき過ぎない(1.5m)。

加速→減速を使った抜き方ドリル(スペースをつくる動き)

設定:15mレーン、5mで一度フリーズ(減速)して再加速。
狙い:スピード変化の大きさでズレを作る。
評価:再加速後3歩で前を向けたか。

ゴールへ直結させる終盤の選択(クロスを引き出す/シュート)

設定:レーン出口にミニゴール。抜いた瞬間にシュート、角度が無ければ斜めに運んでから。
コーチング:「抜いたら3歩で打つ」「角度が苦しい時はファーポスト狙い」。

制約付きドリル(片足タッチ数制限、タイム制)での判断力養成

  • 片足3タッチ以内ルール:運ぶ意識が自然に高まる。
  • 5秒以内にゴール:決断を速くする。
  • コーチの「色コール」で出口変更:顔上げの習慣化。

守備側の1対1練習メニュー(低学年向け)

守備の姿勢と距離感(正しい重心とステンス)

やり方:ボール保持者に対して半身で構え、つま先はやや外、膝は柔らかく。
キュー:「内側消す」「足は小刻み」「届かないタックルは出さない」。

サイドに追い込む角度の作り方(フォースの基礎)

設定:レーン中央に縦ライン。守備は「外に追い込む」宣言をして角度を作る。
評価:ラインより外側でボールに触れた回数。

タックルの安全な教え方とタイミング練習

段階:
1. ボールに足を当てるだけ(接触なし)
2. ステップイン→足裏ストップ→体を入れる(肩でぶつからない)
キュー:「ボールと地面の間」「足の面で運ぶ」。

リカバリーと相互協力(勝てなかった時の寄せ方)

抜かれた後の約束:「最短でゴール前の道をふさぐ」「背走は小刻み、体は前」。
評価:抜かれてから3歩以内に進路制限できた回数。

守備から攻撃への切り替え練習(奪ってすぐ仕掛ける)

設定:奪取後3秒以内に逆ゴールへ。
キュー:「奪ったら前」「最初のタッチは大きく」。

発展練習:ゲーム形式とトランジション練習

小さなスペースでの1対1連続(疲労下での判断)

設定:8×10m。20秒プレー→40秒休憩×4本。
狙い:疲れても姿勢と判断を維持。

数的優位・劣勢を作るドリル(1対1→1対2など)

例:1対1で開始、10秒後にサポートが1人入り2対1へ。守備は遅らせて時間を稼ぐ意図を学ぶ。

2分間勝負などスコア付きミニゲームで競争心を刺激

勝ち点制:抜いてゴール2点、コーンライン通過1点、奪取で1点。短い勝負で集中と熱量を引き出す。

トランジション重視の練習(奪取後の即攻撃)

設定:コーチがランダムにボール投げ入れ→奪った方が即シュート。
キュー:「ボールがこぼれた瞬間がチャンス」。

進行と負荷の調整(プログレッション設計)

段階的に難易度を上げる設計(距離・時間・制約)

  • 距離:10m→12m→15m。
  • 時間:プレー時間10秒→15秒。
  • 制約:守備の自由度を段階的に解除(最初は並走のみ→正面対峙→接触可)。

個人差に応じた負荷調整の方法(挑戦と成功のバランス)

  • 得意な子:タッチ数制限、弱い足限定、出口を狭く。
  • 苦手な子:守備に制約、距離短縮、勝ち筋(空いてる側)を事前に示す。

練習ごとの目標設定と評価基準

例:「今日は『減速』がテーマ。方向転換前に3歩でスピードを落とせた回数を記録」。

グループ運営のコツ(待ち時間を減らす工夫)

  • 2~3レーン並行、1レップ10~15秒で回転させる。
  • ペア交代制+セルフ審判でテンポを保つ。

指導中の声かけ・フィードバック例(使えるフレーズ集)

瞬時に使える肯定的フィードバック(例:『よく重心残したね』)

  • 「いまの減速うまい」「半歩でズラせたね」「内側消せたよ」
  • 「ファーストタッチ大きくて前に出られた!」

技術修正の簡潔な伝え方(1つだけ直す)

  • 「次は顔を上げるだけ意識しよう」
  • 「足を小刻みに。大股は無し」

子どもが迷った時の問いかけテンプレ(考えさせるコーチング)

  • 「相手の重心はどっちにあった?」
  • 「次の一歩は大きい?小さい?」
  • 「内側と外側、どっちが空いてた?」

試合中に使える短い指示とその意図

  • 「内、消して!」(カットイン封鎖)
  • 「遅らせて!」(時間を稼ぐ)
  • 「3歩で打とう!」(決断の速さ)

評価と記録:成長を可視化する方法

測れる指標(成功したドリブル数、ボール奪取数、ミスの種類)

  • 攻撃:突破成功数、シュートまで到達数、被カット数。
  • 守備:奪取数、遅らせ成功(5秒以上)の回数、飛び込みミス数。

簡易チェックリストの例(練習後に使える)

  • 顔上げ:□できた □時々 □まだ
  • 減速の3歩:□できた □時々 □まだ
  • 内側を消す守備:□できた □時々 □まだ

定期的なビデオ記録と振り返りの進め方

10~15秒の短いクリップで「前→後」の変化を確認。1項目だけ次回目標を書き残すと継続しやすいです。

子どもとの面談で使うフィードバックシート

  • よかった点(1つ)
  • 次のチャレンジ(1つ)
  • 家でできる練習(1つ)

保護者向けのアドバイス(家庭でできるサポート)

家でできる簡単な1対1練習(兄弟・親子で行う)

  • 玄関前の2mレーンで「足裏ストップ→方向転換」。
  • 親は並走守備だけ。追い込み役に徹する。

試合での応援方法と言葉がけのポイント

  • 結果よりプロセスを称賛:「仕掛けたのが良かった!」
  • ミス後は短く次へ:「次の1本!」

練習頻度・休養・栄養の基本

  • 週2~4回の活動+十分な睡眠。
  • 練習後30分以内の補食(バナナ・おにぎり・牛乳など)。

安全管理と用具の選び方(ボールサイズ・シンガード)

  • ボールは4号が一般的。足に合うシューズ、適切なシンガードを。
  • 雨天時は滑りやすい地面に注意、無理はしない。

よくある課題と対策(指導で陥りやすいミス)

過度な技術押し付けで自信を失わせることへの対策

「型」を1つ提示→選手が選ぶ余白を残す。成功体験を先に積ませる。

待ち時間が長くて集中が切れる場合の改善案

  • レーン増設、セルフジャッジ、2球連続方式で回転率を上げる。

勝敗に偏った指導で起きる心理的問題への対応

勝敗以外のスコア(ねらい達成点)を可視化。「減速成功1点」などで挑戦を守る。

技術・戦術の混同を避けるための分け方

前半は技術(触り方・体の向き)、後半は戦術(角度・時間管理)。テーマを1回で混ぜ過ぎない。

指導例:60分セッション(タイムライン付き実践プラン)

ウォームアップ(10分)—目的と具体的メニュー

  • 動的ストレッチ+アジリティ(5分)
  • 色コール反応+ボールタップ(5分)

基礎技術ドリル(10分)—狙いと指導ポイント

  • Vターン、アウト→イン、足裏ストップ(各30秒×2)
  • ポイント:減速の3歩、顔上げ、最初の一歩を大きく

攻守1対1メイン(20分)—複数パターンと進行例

  1. 短距離1対1(10m):攻撃の突破狙い(8分)
  2. 守備角度づくり(フォース)(6分)
  3. 切り替え3秒ルール付き(6分)

ゲーム形式・競争(15分)—勝敗設定とルール案

  • 2分×3本のスコアゲーム:突破2点、奪取1点、遅らせ成功1点
  • 最後の1本は「弱い足限定」や「5秒以内シュート」制約

クールダウンと振り返り(5分)—評価と宿題

  • 軽いストレッチと呼吸整え(3分)
  • 今日のねらいチェック(2分):各自1つだけ次回課題を宣言

用具・安全・運営上の注意点

コート設営の基本(サイズ・マーカー)

  • 1レーン:幅6~8m×長さ12~15m。選手数に応じて2~4レーン。
  • 視認性の高いカラーコーンとラインマーカーで境界を明確に。

ケガ予防(ウォームアップ・適切な休憩)

  • 衝突を防ぐため、同時スタートの方向は統一。
  • 休憩を計画的に(5~10分ごとに給水)。

雨天やグラウンド状況による代替メニュー

  • 屋内では足裏タッチ・方向転換、1対1は並走のみで接触なし。
  • ぬかるみ時は転倒リスクが高いのでタックル禁止。

指導者の人数配分と安全管理チェックリスト

  • レーン1本に対し見守り1人が理想。最低でも2レーンに1人。
  • 開始前の装備チェック、終了後の体調確認を習慣化。

FAQ(よくある質問と簡潔な回答)

1対1練習は何歳から始めるべきか?

基本的なルール理解と安全に止まれる動作ができれば導入可能です。U-8では接触を抑え、並走や角度づくり中心から始めましょう。

週に何回練習すれば効果的か?

週2~4回が目安。高強度の1対1は1回あたり10~20分で十分。質と回復のバランスが大切です。

個人差が大きい子への対応は?

成功率60~70%になるよう制約を調整。守備の自由度や距離・時間を個別に変えて構いません。

自宅で親が教える際の注意点は?

安全優先で接触を避け、並走や方向転換の練習に限定。褒めるポイントを先に決めて短時間で切り上げるのがコツです。

まとめと次のステップ(学習の継続と応用)

記事の要点まとめ(指導の核となるポイント)

  • U-10は「敏捷×判断」を伸ばす黄金期。1対1は最適教材。
  • 成功体験を設計し、キューワードで短く伝える。
  • 質の高い短時間反復+即時フィードバックが効く。
  • 評価は数値化(突破・奪取・遅らせ)で見える化。

次に進めるべきトピック(チーム戦術・複雑な状況判断)

1対1が安定したら、2対1の優位活用、トランジションの連動、ビルドアップ時の角度作りへ拡張していきましょう。

継続的な成長を促す指導者マインドセット

「結果ではなく意図を褒める」「1回1テーマ」「安全最優先」。この3つを軸に、毎回の練習に小さな成功を仕込むことで、子どもたちのチャレンジは確実に増えます。

サッカーIQを育む

RSS