「小学生サッカー初心者は何から始める?」——親も子も、最初の一歩で迷いやすいテーマです。ここでは、家でも公園でもすぐに実践できる“最初の基礎5選”を中心に、親子で楽しく続けるコツをまとめました。道具は最低限、時間は1回5〜20分でOK。できるだけシンプルに、続けやすく、成果が見えやすい構成です。この記事を開いた今日から、親子のサッカー習慣をスタートさせましょう。
目次
- はじめに:小学生サッカー初心者は何から始める?親子で迷わない最初の一歩
- 親子で始める前に知っておきたい基礎知識
- 親子で始める最初の基礎5選(小学生の“土台”づくり)
- 基礎1:ボールに慣れる(ハンドリング&足裏タッチ)
- 基礎2:止める(インサイドトラップの基礎)
- 基礎3:蹴る(インサイドキックで正確性を磨く)
- 基礎4:運ぶ(顔を上げたシンプルドリブル)
- 基礎5:観る・判断(スキャニングの習慣化)
- 家でできる練習メニュー:7日ローテーション(各5〜15分)
- 体づくりとコーディネーショントレーニング
- 親の関わり方:やる気を引き出すコーチング
- よくある悩みQ&A
- 次のステップ:基礎を試合につなげる
- 用語ミニ辞典(初心者が最初に押さえる言葉)
- まとめ:今日から親子で始める“5分の習慣”
はじめに:小学生サッカー初心者は何から始める?親子で迷わない最初の一歩
このガイドのねらいと活用法
このガイドは「まず何を、どの順番で、どうやって教えるのか」を具体化し、親子で迷わないスタートを支えるためのものです。練習は“短く、楽しく、正しく”。毎日少しずつ積み上げる仕組みを作れば、週の終わりに小さな成長が見えます。
- 読む→やってみる→記録する→振り返る、のサイクルで使う
- 1回の練習は5〜20分。集中が切れる前に切り上げる
- 親の役割は「安全確保」と「具体的に褒める」の二つで十分
“できた”を積み重ねる学び方の原則
小学生の上達を加速させるのは「成功体験の数」です。失敗の修正より「成功の再現」を優先しましょう。難度は段階式に、成功率が6〜8割になる設定が目安です。反復は“短く何回も”。
親子で始める前に知っておきたい基礎知識
目的を決める:楽しむ・体づくり・試合に出る
目的が決まると、練習の濃度と内容がはっきりします。
- 楽しむ:ゲーム化中心、勝敗や点数でワクワク感を
- 体づくり:走る・止まる・ジャンプなど基礎動作もセット
- 試合に出る:止める・蹴る・運ぶ・観るをバランスよく
用具の選び方:ボールサイズ・シューズ・服装
- ボール:小学生は3〜4号が目安。1〜3年生は3号、4〜6年生は4号
- シューズ:はじめは運動靴でOK。滑りにくいソールを選ぶ
- 服装:動きやすく汗を吸い乾きやすい素材。夜は反射材があると安心
チェックポイント
- 空気圧を適正に(親指で軽くへこむくらい)
- 靴紐は二重結び。靴がゆるいと蹴りにくくケガも増える
安全とマナー:練習場所・周囲への配慮・ケガ予防
- 場所:人や車が来ない広場、ボールが飛び出さないスペース
- 時間:住宅地では早朝・深夜の壁当ては避ける
- ケガ予防:ウォームアップとクールダウンを各3〜5分
練習の頻度と時間配分:週2〜4回・1回5〜20分でOK
最初は「短く高頻度」が続けやすいです。疲れて集中が落ちる前に切り上げるのがコツ。週末に少し長く、平日は短くが現実的です。
成長に合わせた期待値の持ち方
成長には波があります。うまくいかない日は「やり方を変えるチャンス」。結果ではなく「工夫」や「チャレンジ」を褒めて、自己効力感を育てましょう。
親子で始める最初の基礎5選(小学生の“土台”づくり)
基礎1:ボールに慣れる(ハンドリング&足裏タッチ)
最優先は「怖くない・自由に触れる」こと。手を使う遊びから入ると上達が早いです。
基礎2:止める(コントロールの基本=インサイドトラップ)
ボールを自分の思う場所に置けると、次のプレーが楽になります。足の内側で面を作るのが基本。
基礎3:蹴る(インサイドキックで正確に運ぶ)
スピードよりも方向と強さの再現性。近距離から始めて、少しずつ距離を伸ばします。
基礎4:運ぶ(顔を上げたままのシンプルドリブル)
視線とタッチのリズムを作る練習が効果的。ボールと自分の距離をコントロールします。
基礎5:観る・判断(スキャニングの習慣化)
サッカーは「情報のスポーツ」。見る→決める→実行するの習慣化が、プレーを一段楽にします。
基礎1:ボールに慣れる(ハンドリング&足裏タッチ)
家でできる遊び3つ:転がす・止める・左右タッチ
- 転がす:親がゆっくり転がし、子が足裏で止める→返す
- 止める:転がるボールを足裏でピタッ。5回連続成功を目標
- 左右タッチ:ボールの上に交互に足を乗せる(テンポはトントン)
ミニドリル
- 足裏の前後ローリング×30秒×2セット
- 足の甲キャッチ(ボールを両手で落として甲で受け止める)×10回
姿勢と重心:膝の柔らかさとつま先の向き
膝を軽く曲げ、かかとを浮かせる意識。つま先と膝は同じ方向にそろえると安定します。上半身はリラックス、肩の力を抜くと細かいタッチがしやすくなります。
“できた”の目安と次のステップ
- 足裏ストップ→ミスなく10回連続できれば合格
- 次のステップ:片足タッチ→左右交互→リズム変化(速い/遅い)
つまずきやすいポイントと修正方法
- ボールが逃げる→足裏の接地時間を0.2秒長くする意識
- 身体が硬い→膝を曲げて腰を落とす。背中は丸めすぎない
基礎2:止める(インサイドトラップの基礎)
止め方の型:身体の向き・足首の固定・面を作る
- 身体の向き:ボールが来る側の腰を少し開いて受ける
- 足首:つま先をやや上げて固定、土踏まず〜親指付け根で面を作る
- 吸収:当たる瞬間に足を数センチ引いて“音を小さく”止める
チェックポイント
- 視線はボール→次の行先(受ける瞬間にチラ見上げ)
- 止めた位置は自分の一歩先(蹴りやすい場所)
親子パスの入門ドリル:近距離→角度→動きながら
- 1. 3m正面パス:10本中8本“音小さく”止めたら合格
- 2. 斜め45度:左右からのパスで足の入れ替えに慣れる
- 3. 歩きながら:ゆっくり歩行→止める→2歩で返す
コントロール後の一歩で優位を作る
止めて終わりではなく、止めた瞬間に「前足で一歩運ぶ」。この一歩で次のキックやドリブルがスムーズになります。
よくあるミスと直し方
- 面が斜め→ボールが外へ逃げる:足の内側全体を意識し、母指球で“壁”を作る
- 足が固い→はね返る:当たる瞬間に1cm引くイメージ
基礎3:蹴る(インサイドキックで正確性を磨く)
当てる面と支える足:基本のチェックポイント
- 当てる面:足の内側(くるぶし下〜母指球)の平らな面
- 支える足:ボールの横10〜15cm、つま先は狙いの方向
- 体重移動:踏み込み→当てる→フォロースルーの順にスムーズ
距離別の段階練習:3m→5m→8m
- 3m:フォーム確認。弱く正確に
- 5m:強さを少しアップ。10本中7本狙い通りならOK
- 8m:助走を短く、体のブレを抑える
壁当てのやり方と記録の付け方
- 狙いを決める:壁にテープで30cm四方の的を作る
- 回数:1セット10本×3セット。命中数をノートに記録
- 難度調整:距離を伸ばす、片足のみ、ワンタッチで返す
ミスの原因(体の開き・踏み込み・目線)と修正
- 体が開く:肩を狙いに正対、フォローの足も狙いへ
- 踏み込みが近/遠い:ボールと自分の距離を「靴一足分」を合図に
- 目線が先に上がる:当てる瞬間まではボールを見る→直後に顔を上げる
基礎4:運ぶ(顔を上げたシンプルドリブル)
どこで触る?内・外・足裏の使い分け
- 内側:進行方向へ細かく運ぶとき
- 外側:相手から遠い側へ逃がすとき
- 足裏:一瞬止める、向きを変えるとき
直線・ジグザグ・八の字の順で覚える
- 直線:2m間隔に目印を置き、2タッチ/コーンで進む
- ジグザグ:左右交互に外側タッチで切り返し
- 八の字:目印2個の周りを8の字で回る(右回り/左回り)
観る→触るのリズムをつくる声かけ
声かけ合図「見て、触る、見て、触る」。2タッチごとに顔を上げる“2タッチ1スキャン”で視野を癖づけます。
狭いスペースでの工夫(家具・ライン代用)
- 床の線、マットの端、養生テープでラインを作る
- ペットボトルや靴下を目印に。倒れても安全な物を使用
基礎5:観る・判断(スキャニングの習慣化)
視線の上げ下げドリル:2タッチ1スキャン
- ボール2タッチ→親が上げた指の本数を見る→答える
- 慣れたら「視線だけ」素早く。首を柔らかく左右に動かす
色呼び・番号呼びゲームで判断を促す
- 目印に色紙やテープを使用。呼ばれた色へ方向転換
- 番号で合図:1=前へ、2=右へ、3=左へ、4=止める、など
家の中での視野トレと安全配慮
狭い室内では超低速のタッチと小さいボールで。家具やガラスから十分な距離を取り、滑りにくい床で行いましょう。
判断がプレーを楽にする理由
状況が見えていると、焦って強く蹴りすぎたり、相手に近づきすぎたりするミスが減ります。結果的に体力の消耗も減り、良い判断→良い技術の循環が生まれます。
家でできる練習メニュー:7日ローテーション(各5〜15分)
ウォームアップとクールダウンの基本
- ウォームアップ:関節回し→軽いジョグ→ボールタッチ各30秒
- クールダウン:息を整える→ふくらはぎ/もも前後/股関節のストレッチ各20秒
月:ボールタッチ×記録チャレンジ
足裏タッチ、インサイドタッチを30秒測定。回数ではなく「ミス少なく」を評価。自己ベストをノートに記録。
火:止める&蹴るの近距離パス
3mパスで“音小さく止める”→2歩で返す。10往復×2セット。
水:ドリブル基礎(直線→ジグザグ)
直線ドリブル往復×5、ジグザグ×5。2タッチ1スキャンの合図を入れる。
木:判断ゲーム(色呼び・番号呼び)
親の合図で方向転換。5分間の中で合図頻度を上げ下げして難度調整。
金:壁当て&コントロール
壁当て10本×3セット。セット間にトラップで止める→前へ1歩運ぶを追加。
土:親子ミニゲーム
狭い1対1(ゴール幅1〜2m)。制限ルール(2タッチ以内、弱いキックのみ)で安全に。
日:振り返りと目標更新
「今週できたこと」を3つ書く→来週の目標を1つだけ決める。動画を5〜10秒撮って見比べるのも効果的。
負荷調整のサインと休む勇気
- 動きが雑、集中が切れる、表情が曇る→今日は終了
- 痛みがあるときは中止し、違和感が続く場合は専門家に相談
体づくりとコーディネーショントレーニング
走る・止まる・切り返すの基礎動作
- 短いダッシュ(5m)×5本
- 急停止(前3歩→止まる)×5本
- 切り返し(前→右→前→左)×5本
片足バランスとリズムジャンプ
- 片足立ち30秒(目を閉じて10秒)
- 前後/左右のリズムジャンプ×20回
柔軟性と可動域:大きく動くための習慣
股関節回し、もも裏(ハムストリングス)、ふくらはぎを丁寧に。動きが大きいほど、プレーに余裕が生まれます。
成長期の配慮(膝・踵の痛みへの注意)
成長期特有の膝(オスグッド)や踵(シーバー病)の痛みには無理をしないことが大切。痛みが出たら休む、痛みが続く場合は医療機関へ。
日常でできる栄養と睡眠の基本
- 炭水化物+たんぱく質+野菜/果物を毎食に
- 水分はこまめに。練習前後でコップ1杯ずつ
- 睡眠は目安9〜10時間。寝る1時間前は画面を減らす
親の関わり方:やる気を引き出すコーチング
声かけのコツ:行動を具体的に褒める
「よかったよ」より「止めた後に前へ一歩、すごく良かった」のように具体的に。行動が再現されやすくなります。
目標設定と見える化(チェック表・動画)
- 週1つだけの目標(例:壁当て命中7/10)
- チェック表で丸をつける、5〜10秒の動画で見える化
ゲーム化する工夫(制限・タイム・対決)
- 制限:2タッチ以内、左足のみ、弱いキックだけ
- タイム:30秒で何回できるか
- 対決:親子で合計点数を競う(子ども有利のハンデを)
叱らない仕組み:ルールと選択肢を用意する
「選ぶ→やる→振り返る」の主導権を子どもに。叱る前に、選べるルール(メニュー/回数/順番)を用意しましょう。
よくある悩みQ&A
リフティングはいつから始める?
足裏タッチやインサイドキックが安定してきたら徐々に。最初は「手で落として1回→キャッチ」からでOK。回数よりも姿勢とバランスを大切に。
壁当てできる場所がないときの代案
- ターゲットゴール(段ボールに穴をあける)
- ネット/的あて用の簡易ゴール(屋外)
- 親子パスで「ワンタッチ返し」の難度を上げる
集中が続かないときの対処
- 時間をさらに短く(3分×2セット)
- ゲーム化(合図、制限、得点)で楽しさを足す
- 終わりを決めて始める(タイマー活用)
左足が苦手を克服する順番
- 足裏タッチ→インサイド止め→3mインサイドキック
- 成功率6割で距離やスピードを少し上げる
雨の日・夜にできる練習
- 室内:足裏タッチ、片足バランス、視線のスキャン
- 廊下や玄関で小さめのボール(安全第一)
- 動画でフォーム確認→翌日に1点だけ修正
次のステップ:基礎を試合につなげる
1対1のはじめ方(距離・角度・仕掛け)
距離は2〜3m、角度はやや斜めから。最初は“緩い守備”で成功体験を作り、攻守交代しながら強度を上げていきます。
パス&ムーブで“動きながら”を覚える
パス→1歩動く→また受ける、の繰り返し。止まらないことを合言葉に。
親子ミニゲームの作り方(制限ルール)
- 2タッチ以内、弱いキックのみ、左足ボーナス+1点
- コートは狭め(縦4〜6m×横2〜3m)で安全に
地域のクラブ・スクールの選び方と見学ポイント
- 安全管理(人数/指導者比率、救急対応)
- 基礎スキルに時間をかけているか
- 子どもが主体的に学ぶ雰囲気か、コーチの声かけが具体的か
用語ミニ辞典(初心者が最初に押さえる言葉)
インサイド・トラップ・コントロール
インサイド:足の内側でボールに触ること。トラップ/コントロール:ボールを自分の思う場所に止める・置く技術。
スキャニング・コーディネーション
スキャニング:首や目を動かして周囲を見ること。コーディネーション:身体を思い通りに動かす能力(バランス、リズム、反応など)。
アジリティ・サポート・スペース
アジリティ:素早く動き、方向を変える力。サポート:味方がプレーしやすい位置取りをすること。スペース:自由に使える空間。
まとめ:今日から親子で始める“5分の習慣”
最初の基礎5選の振り返り
- ボールに慣れる:足裏・ハンドリングで“怖くない”を作る
- 止める:インサイドで静かに吸収、次の一歩までがセット
- 蹴る:インサイドキックの正確性を距離別で積み上げる
- 運ぶ:2タッチ1スキャンで顔を上げたドリブル
- 観る・判断:色/番号ゲームで情報処理を習慣化
継続のコツと次のチャレンジ
- 1回5〜15分、週2〜4回でOK。成功率6〜8割の設定に
- “できた”を言葉と記録で見える化。動画も活用
- 慣れたら1対1やミニゲームへ。制限ルールで安全に段階アップ
小学生サッカー初心者は何から始める?親子で始める最初の基礎5選——答えは、今日の5分から。小さな成功体験を積み重ねれば、半年後には見える景色が変わります。焦らず、楽しく、親子で一歩ずつ進んでいきましょう。