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サッカー サードマン 導入ドリルを段階設計する方法

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ボールを失わずに前進し、決定機へつなげる。現代サッカーの根っこにあるこの課題を、最短距離で解く鍵が「サードマン(三人目)」です。本記事では、サードマンの型をゼロから段階的に身につけるための導入ドリルを、現場でそのまま使える設計図としてまとめました。合言葉は「見て、ずらして、刺す」。狙いを明確に、負荷を管理しながら、再現性の高い前進を一歩ずつ積み上げていきましょう。

導入:サードマンとは何か、なぜ今取り組むのか

サードマン(三人目)の定義と基本原理

サードマンとは、ボール保持者(1人目)→中継役(2人目)→第三者(3人目)へとパスがつながり、2人目はワンタッチで落として前進を助ける原理です。典型は「縦パス→落とし→前進」。1人目が相手を引きつけ、2人目が時間と角度を作り、3人目がライン間や背後で受けることで、守備のプレッシャーを一気に外せます。

現代サッカーでの重要性(プレス回避と前進)

前からの圧力が強いチームが増えた今、1対1のその場勝負だけでは前進が安定しません。サードマンは、マークを一時的にずらし、相手の視野と体の向きを逆手に取る仕組み。縦パスに相手が寄った瞬間に、別の角度から3人目が現れることで、ライン間や背後への侵入確率が上がります。

この記事のゴールと読み進め方

ゴールは「サッカー サードマン 導入ドリルを段階設計する方法」を理解し、今日からトレーニングプランを組める状態になること。最初に考え方(負荷設計・コーチングキュー)を押さえ、段階1〜9のドリルを積み上げ、最後に週次プランと評価法で定着させます。

導入ドリルを段階設計する意義

サードマンは認知・技術・戦術が同時に必要です。いきなりゲームで「三人目を使え!」と叫んでも再現されません。シンプルに始め、刺激(守備圧・時間・方向性)を少しずつ増やすことで、意図のある前進が自動化されます。

サードマンの戦術的価値と活用局面

ビルドアップでの数的優位創出

CB→IH→SB/WGなどの組み合わせで、前進のルートを確保。GKを絡めて数的優位を作り、2人目が落とすことで前向きの選手がフリーになります。

ミドルサードでのライン間攻略

相手MFラインの背中にIH/OMFが位置取りし、CFが落とし役になる形が有効。縦パスを引き出してから、三人目がライン間で前向きに受けると、一気にアクセルが踏めます。

サイド局面での圧縮回避とスイッチ

サイドで圧力を受けたら、WG→IH→SB(オーバー/アンダー)で出口を作る。サードマンを介して逆サイドへスイッチする選択肢も生まれます。

ファイナルサードでの決定機創出

PA角での「落とし→刺す」はカットバックの入り口。縦を示してから中で受ける、あるいは中を示してから裏へ抜ける二択を、三人目の動きで上書きします。

サードマンとワンツーの使い分け

  • 相手がボールに強くアタック:ワンツーで即突破
  • 相手がカバー重視で後ろが詰まる:サードマンで角度を変えて前進

段階設計の考え方:学習原理と負荷変数

シンプルから複雑へ(認知→技術→戦術→自動化)

まずは「型」を理解(認知)、次に落としやファーストタッチ(技術)、方向性と役割の連動(戦術)、最後はゲーム内で自然に選べる(自動化)という順で進めます。

負荷変数の設計(人数・広さ・タッチ制限・時間・得点条件)

  • 人数:少人数で頻度↑→徐々に人数↑で混雑に適応
  • 広さ:狭いと技術負荷↑、広いと走力とタイミング負荷↑
  • タッチ制限:2タッチ/1タッチで意思決定を高速化
  • 時間:制限時間や加点時間でスピードを引き出す
  • 得点条件:サードマン経由にボーナスで選択を誘導

制約ベースコーチングの基本

「こう動け」と指示し続けるのではなく、ルールと空間で解を誘導します。正解が起きやすい環境をつくり、成功体験で学習を進めます。

成功基準の可視化と段階的難易度調整

「縦→落とし→前進」の成功回数、前向きで受けた回数、ターンオーバー位置など、数えられるKPIで進歩を実感。2連続成功で難易度アップなど、明確なトリガーを用意します。

レベル別適用(入門・中級・上級)

  • 入門:2対1+サーバー、3v1ロンド、タッチ制限なし
  • 中級:方向づけロンド、ゲート突破、時間制限あり
  • 上級:局面限定ゲーム、トランジション統合、制約付きゲーム

準備:共通用語とコーチングキュー

体の向き(オープン/クローズ)と角度

受け手は半身(オープン)でゴールと仲間が見える角度へ。落とし役はボールと3人目を一直線にしない「ずらし」を意識。

タイミング(視線→移動→パスの同期)

1人目が顔を上げる→2人目が角度を作る→3人目が裏へ動く、の順で同期。パスは「動き出しの前に出る」が基本。

スキャン(首振り)の頻度と質

ボールが動くたびに左右と背後をスキャン。受ける直前のダブルチェックで相手の肩越しを確認。

幅と深さの確保、ライン間の占有

幅を取る選手がいるから縦が生まれ、深さを取る選手がいるから落としに時間が生まれます。ライン間は「立ち続ける勇気」。

合言葉例:見て、ずらして、刺す

  • 見て:顔を上げて背後の情報を取る
  • ずらして:相手の守備基準(距離・向き)をずらす
  • 刺す:迷わず前を刺すパス・ラン

段階1:2対1+サーバーでの基礎パターン

目的:パス→落とし→前進の型を習得

最小構成で「縦→落とし→前進」を反復し、角度と距離の感覚を掴みます。

設定:人数・グリッド・時間・ローテーション

  • 人数:攻撃2+守備1+サーバー1(計4)
  • グリッド:12×10m。サーバーは端に固定
  • 時間:1レップ60秒、3セット。役割ローテーション

ルール:前進パスのみ得点、タッチ制限オプション

  • サーバー→攻撃A(縦)→攻撃B(落とし)→攻撃A/C(前進)で1点
  • 守備はインターセプトのみ可から開始、慣れたらプレッシャー強度↑
  • 2タッチ制限オプションで判断速度を上げる

コーチングポイント:落としの質と角度

  • 落としの強度:相手を越える最短距離に、強すぎず弱すぎず
  • 落としの角度:3人目が前向きで踏み込める斜め後方へ
  • 受け手は半身で、次のパスラインを見ながらセット

成功基準とチェックリスト

  • 1分間で3回以上の成功
  • ターンオーバーを自陣側で発生させない
  • 落としの位置が受け手の進行方向に置かれる

バリエーション:片足限定・弱脚限定

弱脚限定で落としの質を底上げ。片足限定は体の向きを作る意識が高まります。

段階2:三角形ロンドでの認知と体の向き

目的:三角形内での三人目の出現頻度を高める

ロンドで「縦→落とし→前進」の選択を自然に引き出します。

設定:3v1/4v1ロンド、方向性なし→あり

  • 3v1(8×8m)→4v1(10×10m)
  • 前半は方向なし、後半は出口マーカーを置いて方向付け

ルール:縦パス→落とし→前進で+2点

通常のパスは+1点、サードマン成功は+2点で誘導します。

コーチングポイント:事前に開く・背後視

  • ボールが動く前に角度を確保(事前に開く)
  • 受け手は背後視で守備者の肩越しを確認

よくあるミスと修正:受け手が足元に寄る

  • 修正法:受ける地点を「コーンで事前表示」、足元ではなく進行方向へ置く

バリエーション:守備の圧力段階化

  • 守備はパスライン限定→タッチ制限解除→フルプレッシャーへ段階アップ

段階3:タイミングと背後認知(ゲート突破)

目的:相手の肩越しに通すタイミング習得

「見る→ずらす→刺す」をゲートで可視化します。

設定:ゲート(マーカー門)を通過して得点

  • 15×12m。中央に守備1、出口ゲート2つ(幅2m)

ルール:縦→落とし→サードマンでゲート通過

ゲートを通したら1点、2連続成功でゲート幅を1.5mへ。

コーチングポイント:遅れて動く vs 先に立つ

  • 3人目は守備が寄った“後”に遅れて飛び出す
  • 落とし役は守備者の背中側に立って視線を固定

成功基準:2連続成功で難易度アップ

ゲートを狭める、時間制限を短縮、守備を1→2に増やすなど段階化。

バリエーション:移動ゲート・時間制限

コーチが移動ゲートを提示して認知負荷を上げる。10秒以内の得点で+1点ボーナス。

段階4:方向づけロンド4v2/5v2(前進の必然化)

目的:方向性のある前進でパターンを自然化

出口を決め、サードマンを使わないと前進できない制約で必然化します。

設定:2ゾーン制、出口ゲートを設定

  • 20×15mを横10m×2ゾーンに分割。4v2→5v2へ

ルール:サードマンでのみゾーン前進可

縦→落とし→前進の連続が成立したときだけ隣ゾーンへ移動可能。

コーチングポイント:ファーストタッチの向き

落としを受ける3人目は、前向きに運べるタッチで持ち出す。タッチ方向が次の解を決めます。

守備強度の段階設計

  • 守備はパスカット限定→プレス可→カウンタープレス解禁

失敗例:落としが背中側になる→修正法

落とし役は体をボールと3人目の間に入れて、ボールを前に置く。目線とつま先をゴール方向へ。

段階5:ビルドアップ(CB–IH–WG)の三人目

目的:後方からのライン間通過の再現

ビルドアップの現実場面に落とし込みます。

設定:3レーン/3ゾーンでの局面限定ゲーム

  • 縦35×横30m、後方/中盤/前方の3ゾーン、左右レーン表示
  • 配置例:CB2、IH2、WG2、SB2、CF1、守備3〜5

ルール:IH経由のサードマンで中盤突破

CB→IH→WG(またはSB)で中盤ラインを越えたら+2点。越えずに前線へ入れても+1点。

コーチングポイント:IHの立ち位置と半身

  • IHは相手の背中から出入りし、ライン間で半身受け
  • CBはパスフェイクで相手を固定してから差し込む

キーパーの関与と数的優位の作り方

GKを1人目に数え、相手1stラインを広げる。戻し→差し込みを織り交ぜてプレスを外します。

バリエーション:片側誘導→逆サイド解放

片側で回数を重ねて相手を寄せ、IH経由で逆サイドWGへ解放。得点を逆サイド経由にボーナス設定。

段階6:サイド崩し(オーバー/アンダーラップの活用)

目的:サイド圧縮下の解放と中央侵入

SB–WG–IHの三角形でサイドからPA角へ。

設定:SB–WG–IHの三角形での局面練習

  • 縦25×横20m、サイドレーンに制限ライン
  • 守備2〜3(SB/WGをマンマーク想定)

ルール:サードマンでPA角侵入に加点

WG→IH→SB(オーバー/アンダー)でPA角侵入+2点。即カットバック成功で+1点追加。

コーチングポイント:幅の維持と奥行の入れ替え

  • WGが幅を維持→SBが外/中どちらで深さを作るかを宣言
  • IHはライン間で相手の視線を引き付ける

選択基準:ワンツーか三人目か

  • 相手SBが飛び出す:ワンツーで内突破
  • 相手WGが戻って二重:三人目で外/中を使い分け

バリエーション:クロス制限・カットバック限定

クロスはニア/ファーの限定で精度を高める。PA内はカットバックのみの制約で冷静な選択を養う。

段階7:ミドル→ファイナルの連続性

目的:連続した前進と決定機創出を接続

中盤突破からフィニッシュまでを一つの流れに。

設定:2ゾーン連結ゲーム(移行制限時間あり)

  • 縦50×横35m、ミドルゾーン→ファイナルゾーンへ10秒以内に移行

ルール:サードマンでPA進入後のフィニッシュ義務

PA進入から5秒以内にシュート。決めきりの意識を育てます。

コーチングポイント:走るラインのすみ分け

  • CFはニア、WGはファー、IHはペナルティスポット周辺
  • 被りを避けて二次攻撃の位置取りも準備

失敗例:ボールウォッチ→二列目遅れ

IHへ「逆サイドのPA角へ並走」を合言葉に。ボールだけ見ず、相手CBの向きを確認して入る。

バリエーション:カウンター脅威の併存

シュート外れやブロック時に即時奪回ルールで切り替え強化。

段階8:トランジションでのサードマン

目的:奪ってから3パス以内の前進モデル化

奪取直後の混乱を利用してサードマンで刺す。

設定:奪取トリガーで加点タイム開始

  • 通常ゲーム中、ボール奪取の笛で10秒のボーナスタイム

ルール:1本目縦→落とし→裏抜けで+2点

奪取後1本目を縦に入れ、2本目で落とし、3本目で裏を取り切れたらボーナス。

コーチングポイント:最初のサポート角度

奪取者の斜め前・背中側の「二方向サポート」を作る。最初の角度で成否が決まります。

認知負荷の高め方:複数ゴール提示

左右に小ゴール、中央にゲートの3択を提示。相手の守備収縮に合わせて即選択。

バリエーション:即時奪回ルール併用

失ったら5秒間の即時奪回に成功で+1点。攻守の切り替えを習慣化。

段階9:ゲーム形式での統合(制約付き8v8/10v10)

目的:試合文脈での再現性と自動化

制約付きの大人数ゲームで、三人目を自然な選択に。

設定:縦長グリッド・ハーフコートでの実施

  • ハーフコート(縦55×横45m)、8v8→10v10

ルール:サードマン経由の前進でのみ得点可ボーナス

通常得点+1、サードマン経由→フィニッシュで+2。守備にも狙いを明示します。

コーチングポイント:ミクロ→マクロへの橋渡し

小さな三角形の連鎖で大きく前進。局面ごとの合言葉(角度・距離・タイミング)を繰り返し共有。

リセット条件と負荷管理

連続ターンオーバーが2回続いたら一度リセットし、落ち着いて再開。強度の波を意図的に作る。

段階解除:制約の撤廃→自由ゲーム

最終週は制約を外し、選択としてサードマンが出るかを確認します。

週次プログラム例(4週間の進行)

Week1:基礎型と認知(段階1–3)

  • 狙い:型の習得、落としの質、タイミング
  • KPI:1分間の成功回数、落としのミス率

Week2:方向性付与と局面化(段階4–5)

  • 狙い:前進の必然化、ビルドアップの反復
  • KPI:ミドル突破回数、前向き受け割合

Week3:サイド崩しと連続性(段階6–7)

  • 狙い:PA角侵入、二列目の追い越し
  • KPI:PA侵入回数、カットバックからのシュート数

Week4:トランジションとゲーム統合(段階8–9)

  • 狙い:奪取直後の前進、自動化
  • KPI:奪取後10秒以内の枠内シュート数

セッション内配分(90分例)

  • ウォームアップ10分(モビリティ+反応)
  • 基礎ドリル25分(段階ドリル1〜2本)
  • 方向づけ/局面ドリル25分
  • ゲーム形式25分
  • 整理運動・振り返り5分

振り返りと次週へのフィードバック反映

動画の簡易タグ付けとKPI確認→次回の制約やグリッド調整に即反映します。

都度のコーチングポイントと合言葉

前向きで受ける vs 背負って落とすの判断

前向きに受けられるならターン優先。背負うならワンタッチ落としでテンポ維持。

合言葉:角度・距離・タイミング

  • 角度:守備者の死角に立つ
  • 距離:落としは届く最短、前進は走り込める最長
  • タイミング:守備が寄った“後”に出る

視野確保:首振りのトリガーと回数

パス前・受ける直前・受けた直後の3回が基本。特に受ける直前のダブルチェックを徹底。

ファーストタッチの方向付け

前進方向へボールを置く。横への逃げタッチは最小限に。

声掛けと非言語(指差し・目線)の連動

「落ちる」「背中」「任せて」など短いコール+指差しで共通認識を瞬時に作る。

よくあるミスと修正法

ボール保持者が合図せず出して潰れる

修正:目線と指差しで前もって合図。フェイクで相手を固定してから差し込む。

落としの質が強すぎ/弱すぎで前進不可

修正:壁当てで強度コントロール、受け手の利き足側へ置くルールを導入。

三人目の走り出しが早すぎ/遅すぎ

修正:遅れて動く練習。合図は「相手の重心が寄った瞬間」。

幅が縮んで縦パスコースが消える

修正:幅のマーカー制約、外レーン立ち続けルールで矯正。

修正ドリル:静止→歩き→ジョグ→全力の段階化

スピード段階を明示し、技術と認知を整理してから強度を上げる。

評価指標とチェックリスト

KPI例:三人目経由の前進回数/試合

1試合あたりのサードマン成功回数をカウント。ベースラインを作り、週次で比較。

前進成功率とPA進入回数

縦→落とし→前進の成功率、PA進入回数(特にカットバックに至った数)を記録。

受け手の前向き数(半身受け割合)

前向きで受けた回数/受けた総数。半身の質を可視化。

ターンオーバー位置と直後の反応

失った場所(自陣/中盤/相手陣)と5秒以内の即時奪回可否を記録。

チェックリスト:練習前・後の自己評価

  • 今日の合言葉は何かを確認
  • 自分の役割(1人目/2人目/3人目)での強み/弱みを一言で
  • 次回の個人目標を数字で設定(例:前向き受け5回)

ビデオとデータでの振り返り

簡易タグ付け方法(縦→落とし→前進)

動画に「V→D→P」の3文字タグで時刻を記録。後で一括抽出が可能。

静止画キャプチャでの体の向き確認

受ける直前の静止画で、つま先と肩の向きをチェック。半身の角度を本人に見せると改善が早いです。

個人課題シートの作成と更新

週1で「成功/失敗理由」「次の一手」を記入。練習の意図が明確になります。

次セッションへの課題接続

KPIが基準到達なら制約緩和、未到達なら制約強化やグリッド調整で再挑戦。

保護者・選手間の共有の工夫

短いハイライトクリップと簡単な数値を共有。目的と成果を同じ言葉で話せるように。

自主練でできる補助練習

壁当てでの落とし精度トレーニング

壁に縦→落とし→前進の三角形を描くイメージで、強弱と置き所を反復。

視野確保ドリル(カラーコール・番号認知)

足元ドリブル→コーチが色/番号コール→顔を上げて対応する習慣化。

弱脚強化と片足制限での基礎反復

片足インサイド/アウトサイドでのコントロール。1分×3本を左右で。

ミニ三角コーンでの角度作り

三角形の辺を変えながら、落としの角度と距離を調整する反復。

少人数(2–3人)での簡易サードマンドリル

2人+壁でも可。縦→落とし→前進のリズムを毎日5分。

安全面と負荷管理

ウォームアップ(モビリティと反応)

股関節・足首の可動域確保+反応系(色/声)で神経を起こす。

スプリント量と方向転換の管理

高強度の方向転換が続いたら休息比率を上げる(1:1→1:1.5)。

ボール接触数と休息比率

導入期は接触数↑、疲労が溜まる週はセット間休息を長めに。

暑熱・寒冷時の調整ポイント

給水の頻度アップ、寒冷時は動的ストレッチ長め、静的は終了後。

怪我予防:足首・ハムストリングのケア

足首の安定化エクサ(ヒールレイズ、片足バランス)、ハムはノルディックで強化。

変化・バリエーション・上級者への拡張

左右非対称の形での応用

右は内WG、左は外WGなど、非対称の役割で相手のスカウティングを外す。

相手のマンツー/ゾーンでの解法切替

  • マンツー:ブロック/スクリーニングで三人目を解放
  • ゾーン:ライン間の占有と遅れた飛び出しで崩す

偽9番・逆足WGを活用した三人目

CFが降りて2人目、IH/WGが三人目で裏抜け。逆足WGは内側へ持ち出しからPA角へ。

時間帯別の使い分け(リード/ビハインド)

  • リード時:保持重視、落とし→保持→逆サイド解放
  • ビハインド時:落とし→即裏でテンポアップ

セットプレー2次攻撃での三人目活用

クリア後のセカンド回収→落とし→逆サイド刺しで二次波を作る。

よくある質問(FAQ)

個の突破とサードマンの優先度は?

優先度は状況次第。1対1で優位なら突破。相手が数的優位・カバー厚いときはサードマンで角度を変えるのが効率的です。

小学生〜高校生での難易度調整は?

小学生は広さと時間に余裕を、タッチ制限なし。中学生は2タッチ制限とゲート。高校生は方向性・時間制限・守備強度を上げます。

守備が読み始めたときの対策は?

同サイドのワンツー、逆サイドスイッチ、3人目のフェイク(走る→止まる)を織り交ぜて予測を外す。

ポジション別の学習ポイントは?

  • CB:差し込む前の固定(フェイク/運ぶ)
  • IH:ライン間で半身、落としの質
  • WG:幅の維持とPA角の侵入
  • CF:背負いの安定と落としの置き所
  • SB:オーバー/アンダーの使い分け

練習が単調にならない工夫は?

得点条件の変更、ゲート位置の微調整、時間ボーナス導入、左右非対称設定で刺激を更新。

まとめと次のステップ

段階設計の要点の再確認

  • 認知→技術→戦術→自動化の順で無理なく積み上げ
  • 制約で正解を誘導、KPIで進歩を可視化
  • 「見て、ずらして、刺す」を合言葉に統一

チーム文脈への落とし込み方

自チームの強み(速いWG、巧いIH、運べるCBなど)を出発点に、段階5〜7の局面ドリルを重点化。スカウティングに合わせて制約をマイナーチェンジ。

次に取り組む関連テーマ(逆三人目・スイッチ)

逆サイドの三人目、同サイドのスイッチ、レーン跨ぎの三人目(IH→CF→逆IH)など、応用範囲を広げると武器が増えます。

継続学習のチェックポイント

  • 週1回の動画タグ付けとKPI確認
  • 制約の段階アップ/ダウンを恐れない
  • 選手同士の合言葉を共有して意思決定を速く

あとがき

三人の連動で相手の重心をずらし、一歩先に進む。シンプルだけど奥深いサードマンは、練習で「起きやすい環境」を作れば、誰でも磨ける技術です。今日のセッションに一つだけでも取り入れて、チームの前進力を底上げしてみてください。続けるほど、ゲームの景色が変わっていきます。

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