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サッカーパス回数を増やす練習で2タッチが止まらない

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サッカーパス回数を増やす練習で2タッチが止まらない

「もっとボールを動かしたいのに、パス交換が続かない」「2タッチでテンポよく回したいのに、どこかで詰まる」。そんな悩みを、今日から練習の設計と個人技術のアップデートで解決していきましょう。本記事は、サッカーパス回数を増やす練習で2タッチが止まらない状態を目指すための、具体的で再現性の高いガイドです。用語の定義からKPI(指標)、原理原則、10のドリル、データの取り方、4週間プランまで、現場でそのまま使える内容に絞りました。図や画像は使わず、言葉でイメージできるように丁寧に整理しています。

「2タッチが止まらない」を実現するゴール設定

用語の定義(パス回数・パス交換・2タッチ)

用語をそろえると、練習の狙いが明確になります。

  • パス回数:一定時間内(例:1分)にチームで成立したパスの総数。味方同士のボール移動をカウントします。
  • パス交換:同じ2人または3人以上での連続パス。往復だけでなく、三人目を経由した流れも含みます。
  • 2タッチ:ファーストタッチ(コントロール)+セカンドタッチ(パス)で処理すること。原則、ボール保持中は2回までです。

成果指標(1分あたりのパス回数、成功率、連続回数)

  • 1分あたりのパス回数:目安は8〜15本(人数やエリアで変動)。小人数・狭エリアで密度を上げると本数は伸びやすいです。
  • 成功率:ターンオーバー(奪われ・アウト・ミス)を除いた割合。練習では85%以上を安定的に狙い、負荷を上げても80%を維持するのが目安。
  • 連続回数:ボールロストまでの連続成功数。10、20、30本と目標を段階設定して伸ばします。

練習で狙うゲームモデルとの関係

2タッチが止まらない状態は、試合の「前進」「保持」「スイッチ(展開)」に直結します。具体的には、

  • 前進:アップ・バック・スルーで縦に素早く三人目を使う。
  • 保持:同サイドで数的優位を作り、相手を引き寄せて逆へ振る準備。
  • スイッチ:サイドチェンジの前段階で、2タッチのテンポを崩さずボールを動かす。

練習では「どのフェーズを強化するか」を定義し、ルールと配置を調整します。

パス回数を増やす原理原則

角度と距離(三角形・三人目の動き)

パスは直線だけでは続きません。常に三角形を作ることで、出し手と受け手にもう一つの逃げ道(三人目)を用意できます。距離の目安は8〜15m。短すぎると圧力を受けやすく、長すぎると精度が落ちます。

身体の向きとオープンな姿勢(半身・受ける準備)

受ける前に半身で立ち、腰と肩を開いて次のパスコースを視界に入れておくことが2タッチ成立の出発点です。足元に正面で受けると、2タッチが3〜4タッチに増えやすくなります。

パススピードとテンポ管理

スピードは「速いだけ」では続きません。止めやすい速さ=味方がワンタッチ・2タッチで処理できる強度が基準です。テンポは「相手が寄った瞬間に一段上げる」「外で回す時は一定」を使い分けます。

サポートのタイミング(出し手より先に準備)

ボールが出てから動くのでは遅いです。出し手がトラップする前、あるいは顔を上げた瞬間に、サポート角度と距離を完了させることがパス回数の伸びに直結します。

意思疎通(コール・視線・ジェスチャーのキュー)

短いコール(「マン」「ターン」「ワンツー」など)や、手の示しでの合図、視線の合わせはミスを確実に減らします。特に背後の情報は受け手には見えないため、味方が声で補います。

2タッチを成立させる個人技術

ファーストタッチで前へ運ぶ/次の足へ置く

コントロールは足元に止めるのではなく、次のパス方向へ10〜50cm前に置くイメージ。横へ逃がすコントロールも有効です。

受ける足・出す足の使い分けと体の向き

対圧時は遠い足で受けて守り、出す時は体を開いてパスコースを確保。最短2タッチで出せる足の選択を事前に決めておきます。

スキャン(見る頻度とタイミング)

スキャンは「受ける前2回、受けた直後1回」が基本。受ける前の最後のスキャンで、圧力と三人目を確認します。

軸足と股関節で作るパス精度

インサイドの面だけでなく、軸足の置き位置(ボールの横5〜10cm)、股関節の回しで方向を作ると、スピードと精度が安定します。

ミスを減らすリスク管理(逃げの選択肢)

詰まったら、1つ後ろ・横の安全パス、またはアウトサイドの「逃がし」でやり直す。無理な縦は連続性を壊しがちです。

制約ベースのドリル設計

タッチ制限とルールの作り方(2タッチ固定/1タッチボーナス)

原則2タッチ、余裕ある局面は1タッチにするとテンポが上がります。例:2タッチ=1点、1タッチ成功=2点などボーナス設定が効果的です。

人数・エリア・ゴールの設定基準

人数が増えるほど判断が複雑に。エリアは密度を上げすぎるとミスが増え、広すぎるとテンポが落ちます。まずは1人あたり約25〜40㎡(例:5人なら縦20×横15m)から調整しましょう。

段階的負荷(プログレッション/リグレッション)

  • 易→難:ノープレス→パッシブ→1枚→2枚プレッサー、視野制限(後方コーチングのみ)など。
  • 難→易:人数優位を付ける、エリアを広げる、タッチ数を増やす。

パス交換の回数を増やす練習メニュー10選(2タッチ中心)

メニュー1:3人トライアングルの2タッチ回し(角度作り)

設定:3人、三角形(辺8〜12m)。ボール1個。

ルール

  • 原則2タッチ。受ける前に角度を微調整して半身で受ける。
  • パス後は三人目が角度を作り直し、常に三角形を保つ。

狙い

ファーストタッチの方向づけと、サポート角度の習慣化。

評価

1分で15本以上、成功率90%を目指す。

メニュー2:4対1/5対2ロンド(制限付きターゲット通過)

設定:外4(または5)対中1(または2)。正方形10〜14m。

ルール

  • 2タッチ限定、1タッチ成功はボーナス。
  • 2周(対角→対角)通過で1点。

狙い

テンポ維持と三人目の即時関与。

評価

1分あたり10〜18本、成功率85%以上。

メニュー3:アップ・バック・スルーの三人目連続(方向付け)

設定:縦15〜20mに3人1列×2セット。ボール2個まで。

ルール

  • 中央の選手が落とし(バック)、三人目が前方へ出る(スルー)。
  • 全員2タッチ厳守。入れ替わりながら連続実施。

狙い

前進の型と、受け直しのタイミングづくり。

メニュー4:ヨーヨーパス(左右交互のテンポ維持)

設定:中央1+左右2ずつ、合計5人。縦12m×横20m。

ルール

  • 中央が左→右→左と2タッチで配球。外は1〜2タッチ。
  • 5本連続成功で1点、10本連続で3点。

狙い

スイッチ前のテンポコントロール。

メニュー5:ワンタッチ→2タッチスイッチドリル(判断切替)

設定:4対2+フリーマン1。縦15×横20m。

ルール

  • 自陣は2タッチ、敵陣に入ったらワンタッチ優先。
  • スイッチが入ったら全員の立ち位置を素早くリセット。

狙い

ゾーンによるタッチ判断の切替スピード向上。

メニュー6:位置固定ポゼッション(レーン制限でサポート促進)

設定:縦20×横25mを縦3レーンに分割。6対3など。

ルール

  • 各レーン最大2人まで。2タッチ限定。
  • 隣接レーンのみパス可、オーバーロード(数的偏り)を作る。

狙い

角度の再現性と、三人目の走り込み。

メニュー7:方向付きポゼッション(ゲート通過で前進)

設定:縦25×横30m。中央に2つのゲート(幅4m)。6対4。

ルール

  • 自陣→ゲート通過→敵陣へ。2タッチ中心。
  • ゲート通過は三人目の関与でボーナス追加。

狙い

保持から前進への移行と、方向付けの明確化。

メニュー8:2タッチ限定ミニゲーム(同数SSG・得点にボーナス)

設定:5対5、縦35×横25m、ミニゴール2つ。

ルール

  • 攻撃側は2タッチ限定。10本連続パス=1点ボーナス。
  • 得点後のキックオフは即時プレーオンでテンポを維持。

狙い

実戦強度下での2タッチ継続力。

メニュー9:ターゲットマン経由の連続カウントゲーム

設定:6対6+ターゲット2(両端)。縦40×横25m。

ルール

  • ターゲット経由でサイドチェンジ成功=2点。
  • ターゲットは2タッチ以内、フィールドは原則2タッチ。

狙い

三人目+スイッチでの連続パス増加。

メニュー10:GKを絡めたビルドアップ2タッチ(数的優位の活用)

設定:自陣でGK+DF3〜4+MF1対FW2〜3。縦30×横35m。

ルール

  • GKも2タッチ原則。8本以上の連続パスで中盤へ前進。前進成功で1点。
  • サイドレーン突破時はワンタッチボーナスあり。

狙い

実戦ビルドアップでのテンポ維持と数的優位の可視化。

小人数・狭スペース・自宅でできる補助練習

壁当て2タッチサーキット(角度と強弱)

壁に対して斜め45度で立ち、右→左→正面と角度を変えながら2タッチ。10本×3セット、BPM(後述)に合わせて。

リバウンダー/コーンを使ったファーストタッチ改善

コーン2個の間(幅2m)で受けて、次の足へ置いて通過。弱い足を多めに設定すると効果的です。

メトロノームでテンポ練習(BPM設定)

スマホのメトロノームを90〜110BPMに設定。クリックに合わせて「受ける→出す」を2拍で反復。テンポ感を身体に入れます。

ボールフィーリングと弱足強化ルーティン

  • インサイド・アウトサイドの連続タッチ×60秒。
  • 弱足のみの壁当て×50本。

試合で生きる2タッチ:三人目と方向性

アップ・バック・スルー(縦の三人目の原則)

縦パス→落とし→前進。2タッチの連鎖でセンターライン付近の圧力を剥がします。

内外の三角形で前進する(インサイド/アウトサイドの使い分け)

中央で作れない時は外→中→外で角度を変え、相手のズレを誘発します。逆に内→外→内はスイッチの前段階に有効です。

方向付けポゼッションの設計(前進・保持・スイッチ)

  • 前進:縦への2タッチと三人目を最優先。
  • 保持:サイドで2タッチの往復を増やし、相手を寄せる。
  • スイッチ:一度後ろに戻してから対角へ。

カウンタープレス耐性と即時奪回の準備

2タッチでミスが出た瞬間の「5秒間プレス」を習慣化。出し手の近辺にサポート2枚を常設し、即時回収を狙います。

2タッチが止まる原因と修正

受け手の準備不足(角度・距離・体の向き)

チェック

受ける直前に半身になっているか、三角形が崩れていないか。

修正

パスが出る前に2mの角度調整を入れるルールで改善。

出し手のパススピード不足/強弱のミス

チェック

受け手がワンタッチや2タッチで処理できているか。

修正

壁当てで強弱の幅を作る、相手足のどちら側に出すかを事前宣言して練習。

トラップが足元に死ぬ(運ぶタッチ不足)

修正

コントロールで10〜30cm前に置く制約をつける。置けない場合はノーカウント。

視野確保の不足(スキャン頻度とタイミング)

修正

「受ける前2回、受けた直後1回」を声に出してカウント。慣れたら無言で自然に。

疲労・メンタル要因と対処(ルーティン・休息)

セット間に深呼吸10秒、視線を遠くに置く。週の総負荷を管理し、疲労で精度が落ちる前に切り上げます。

指導と運営:ウォームアップからクールダウンまで

可動域と足首・股関節の準備(ダイナミック系)

  • アンクルサークル、股関節の開閉、ラテラルランジ。
  • 10分でOK。可動域が上がると2タッチの向きづけが楽になります。

神経系を上げるルーティン(SAQ×パス)

10mスプリント→減速→2タッチパス×3本→方向転換、を3周。スピードと技術の橋渡しを行います。

セット数・時間・休息の目安(RPE管理)

  • 技術ドリル:60〜90秒×3〜5セット、休息60秒。
  • ポゼッション:3〜4分×3〜4本、休息2分。
  • RPE(主観的運動強度)6〜8を目安に調整。

安全管理と怪我予防(ハムストリング・内転筋)

コペンハーゲンアダクション、ノルディックハムなどを週2回。パススピードと切替時の筋負担に備えます。

データで伸ばす:KPIと記録方法

1分あたりパス数の計測方法と基準値

タイマーで1分間の成功パスを数えます。ロンド4対1で8〜12本、5対2で10〜15本が最初の目標。エリアやレベルで調整してください。

2タッチ成功率/ワンタッチ比率の可視化

全成功パスのうち、2タッチが占める割合、1タッチの割合を記録。2タッチ80%・1タッチ20%くらいが安定の目安です。

連続成功本数ボーナスでゲーミフィケーション

10本連続=1点、20本=2点、30本=3点とし、競争を作ると継続力が伸びます。

練習後のセルフレビューシートの作り方

  • 今日のKPI(本数・成功率・最長連続)。
  • よかった2場面/改善したい2場面。
  • 次回の1点集中(例:半身で受ける・スキャン回数)。

レベル別・人数別アレンジ

高校生〜社会人への負荷調整(スピードと制限)

レベルが上がるほど、エリアを狭める、守備人数を増やす、1タッチボーナスを拡大するなどで負荷を調整します。

親子/少人数での工夫(2〜4人で可能な設定)

  • 2人:壁当て+移動、ゲート通過リレー。
  • 3人:三角形の角度作り、2タッチ縛り。
  • 4人:3対1ロンド(守備は軽めから)。

GKを含めた全員参加のビルドアップ設計

GKをフィールドプレーヤーとして数え、2タッチ参加を徹底。数的優位でパス回数が自然に増加します。

4週間で実感する強化プラン

週1〜3回の頻度別メニュー例

  • 週1回:ロンド(4対1/5対2)→方向付きポゼッション→ミニゲーム(45〜60分)。
  • 週2回:1回目は技術中心(トライアングル、壁当て)、2回目はゲーム型(SSG、ターゲットマン)。
  • 週3回:軽い技術+強度高めポゼッション+仕上げゲームをコンパクトに(各20分)。

進捗判定と次週への調整方法

「1分あたり+2本」「最長連続+5本」を小目標に。未達ならエリア拡大・守備人数減で調整、達成なら1タッチボーナス拡大や守備強度アップへ。

オフ期/試合期の使い分け(疲労管理)

  • オフ期:反復量を増やし、フォーム固め。
  • 試合期:セット数を抑え、テンポ感と意思疎通の確認に重点。

よくある質問(FAQ)

ワンタッチと2タッチの使い分けは?

基本は2タッチで安定を作り、相手が寄った瞬間やスペースがある時は1タッチで上書きするイメージ。無理に1タッチを増やすより、2タッチの質を高める方が連続性は上がります。

体格が小さい選手でも通用する?

十分に通用します。角度づくり、半身、スキャンの習慣が整うと、体格差を技術とテンポで上書きできます。

雨天や悪ピッチでの注意点は?

パススピードはやや強め、コントロールは体の近くで。エリアを狭め、タッチ数制限を一時的に緩めるのも有効です。

人数が足りない時の代替案は?

2〜3人なら壁当てサーキットや三角2タッチ、4人なら3対1ロンドで十分に負荷を作れます。

まとめ:明日から「2タッチが止まらない」チームへ

今日のポイント再確認

  • 角度・距離・半身・スキャンの4点セットが土台。
  • 2タッチ原則+1タッチボーナスでテンポを設計。
  • KPI(本数・成功率・連続回数)を記録して改善。

最初の一歩(30分スターターメニュー)

  • ウォームアップ10分:可動域+壁当て2タッチ。
  • ロンド8分:4対1、2タッチ限定、1分×4本。
  • 三人目ドリル8分:アップ・バック・スルー連続。
  • クールダウン4分:内転筋・ハムのケア。

継続のコツと次のテーマ設定

毎回「今日は何を増やすか」を一つに絞りましょう(例:スキャン回数、三人目の関与、1分あたり+2本)。小さな達成を積み上げると、サッカーパス回数を増やす練習で2タッチが止まらない状態は現実的な目標になります。次は「方向付きでの前進率」をテーマに、ゲート通過やサイドチェンジの質を磨いていきましょう。

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