サッカー学年別の練習目安と内容大全。この記事は、学年ごとの身体・心・技術の発達をふまえて、「どれくらい練習すればいい?」「何を重点にすればいい?」を一本にまとめた実用ガイドです。目安はあくまで目安。今の体調やスケジュールに合わせて少しずつ調整し、記録して次に活かす。そんな循環を回すための土台として活用してください。
目次
- はじめに:学年別に練習を分ける理由
- 全学年共通の基本方針
- 用語と指標の整理
- 小学校1〜2年:楽しさとボールに触れる量を最優先
- 小学校3〜4年:基本技術の幅を広げる時期
- 小学校5〜6年:個人戦術の定着と試合の理解
- 中学1年:中学生の強度へ段階的に適応
- 中学2年:強度と質の両立、役割理解の深化
- 中学3年:受験・進路と競技の両立設計
- 高校1年:高校レベルのスピードに適応する
- 高校2年:ポジション適性の確立と武器の強化
- 高校3年:勝負の年、コンディションマネジメント
- ポジション別に見る練習の焦点
- シーズン別計画:オフ/プレ/イン/移行期の設計
- 週次テンプレート:学年別のモデル例
- 自主練メニュー集(15/30/60分)
- 技術テーマ別ドリルライブラリ
- フィジカル基礎:年齢に応じた安全な発達
- 戦術理解を深める学び方
- メンタルと習慣:セルフコーチングの技術
- ケガ予防と回復:成長期特有の配慮
- 栄養の基本:練習量に合わせた補給
- 学校・部活・クラブの両立と負荷管理
- よくある失敗と回避策
- 成長の見える化:評価チェックリスト
- 学年別Q&A:よくある疑問に短く答える
- まとめ:目安を自分専用に最適化する
はじめに:学年別に練習を分ける理由
身体的・認知的発達の違いを前提にする
同じ「サッカーの練習」でも、学年が違えば体の使い方、集中力の持ち時間、理解できる戦術の幅が大きく違います。低学年は「楽しい×ボールタッチの量」が主役。中学以降は「判断の速さと強度への適応」が重要になります。年齢や成長段階を無視すると、効率が下がるだけでなく、ケガのリスクも上がります。
長期育成(長期的アスリート育成/LTAD)の考え方
短期的な勝敗ではなく、長期で伸びる土台づくりを優先する考え方です。例として、低学年では多様な動きとボールマスタリー、中学で判断スピードとフィジカル基礎、高校でポジション特性とピーキング(試合で最高の状態に合わせる)を確立する、といった道筋で積み上げていきます。
安全性とオーバーユース(使い過ぎ)防止
成長期は骨端線や腱付着部が弱く、同じ動作の繰り返しで痛みが出やすい時期です。特にスプリント・ジャンプ・キックの反復は配慮が必要。練習量は「段階的に増やす」「高強度日は週2〜3回まで」「痛みは我慢しない」が基本です。
この記事の使い方(目安→調整→記録の循環)
- 目安:学年別の量と内容を基準にする
- 調整:体調・試合予定・勉強との両立で増減
- 記録:週の合計時間・RPE・睡眠・痛みの有無をメモ
全学年共通の基本方針
ウォームアップ標準(モビリティ→アクティベーション→Rondo→スプリント)
- モビリティ:足首・股関節・胸椎の動的ストレッチ(各30〜45秒)
- アクティベーション:臀部・体幹の自重(グルートブリッジ、プランク各20〜30秒)
- Rondo:3v1/4v1で判断のスイッチオン(3〜6分)
- スプリント:10〜20mを3〜6本、フォーム重視、完全回復で
強度管理(主観的運動強度RPEと週当たりの高強度回数)
- RPE(0〜10):主観で「どれだけキツいか」を数値化(練習後に記録)
- 高強度日は週2〜3回目安(高校生は最大3回)。翌日は回復寄りに。
- 連戦週は「量より質」。ドリル短時間×集中で。
技術・戦術・フィジカル・メンタルの優先順位
優先は「技術→判断→フィジカル→メンタルの習慣」。フィジカルは技術を支えるためにあり、技術と判断が試合の中心です。
リカバリー原則(睡眠・栄養・ストレッチ・アイシングの適否)
- 睡眠:小学生9–12時間、中高生8–10時間が目安
- 栄養:運動前は消化の良い炭水化物、運動後は炭水化物+タンパク質
- ストレッチ:練習前は動的、練習後はリラックス目的で静的
- アイシング:痛みや腫れの管理には有効なことがあるが、回復全体は睡眠と栄養が土台
ケガ予防(成長期特有の障害リスクとサイン)
- オスグッド(膝)、シーバー(踵)、腰痛(分離など)に注意
- 「運動後48時間以上続く痛み」「腫れ・跛行」「局所の圧痛」は要対応
- 痛みが出たら中強度以上の練習を中断し、専門家に相談
用語と指標の整理
練習量の単位(分・回数・スプリント本数・反復数)
合計分数だけでなく、「スプリント本数」「キック反復」「1v1レップ数」を数えると質が見えます。
強度の目安(RPE/心拍ゾーン/会話テスト)
- RPE:5=ややキツい、7=かなりキツい、9=最大に近い
- 会話テスト:話せる=中強度、単語でしか話せない=高強度
運動の質(意思決定の回数・成功率)
「スキャン(首振り)回数」「前進パスの成功率」「1v1の勝率」など、意思決定の質を測る指標を1つ決めて記録しましょう。
負荷管理(急性/慢性負荷比の考え方の概説)
直近1週間(急性)と過去数週間の平均(慢性)を比べ、急激な増加を避けるという考え方。具体の閾値は個人差が大きいので、痛み・睡眠・主観疲労と合わせて判断します。
小学校1〜2年:楽しさとボールに触れる量を最優先
週間練習量の目安(総時間・強度バランス)
- 週2〜3回×45〜60分+自由遊び。RPEは3〜5中心。
- 高強度スプリントは10〜15mを3〜4本程度で十分。
重点スキル(ボールマスタリー・方向転換・ドリブル)
- 足裏、インアウト、内外カット、簡単なターン
ドリル例(1人/2人/小集団・ゲーム化のコツ)
- 1人:コーンドリブル、足裏ロール30秒×3
- 2人:対面パス(近距離)、追いかけっこドリブル
- 小集団:宝取りゲーム、コーン当てキック
フィジカル(コーディネーション・リズム・ジャンプ)
縄跳び、ケンケン、低いハードル跨ぎ。全方向に小さく素早く動く遊びが効果的。
ミニゲームの導入(3v3〜4v4の意味)
ボール関与が増え、意思決定がシンプルになります。ゴールは大きすぎないものを。
保護者・指導者の関わり方(励まし中心)
褒める→具体化→再挑戦の流れ。「今のターンが上手だった。次は右でもやってみよう」
GKの導入(遊びとしてのキャッチ/ローリング)
柔らかいボールでキャッチと転がる動きに慣れる。専門練習は不要、楽しく。
小学校3〜4年:基本技術の幅を広げる時期
週間練習量の目安(技術7:ゲーム3の比率)
- 週3〜4回×60〜75分。RPE4〜6中心。技術時間を多めに。
重点スキル(パス&コントロール・運ぶドリブル・フェイント)
両足インサイドパス、正面トラップ、運ぶドリブル、シンプルなフェイント(シザース、ダブルタッチ)。
ドリル例(Rondo 3v1/4v1・壁当て・ターン)
- Rondo:3v1を30秒×6セット
- 壁当て:右左各50回、2タッチ→ワンタッチ
- ターン:クライフ、アウトサイドターンをコーンで反復
フィジカル(スプリント基礎・俊敏性・体幹自重)
10〜20mの加速、リアクションダッシュ、プランク20秒×3。
戦術の入口(幅と奥行き・三角形の作り方)
「空いている場所を使う」「味方と三角形を作る」を言葉と体験で学ぶ。
メンタル/習慣(練習前後のルーティン)
前:水分・靴紐・目標1つ確認。後:整理運動・良かった1つを書く。
GKの基礎(構え・基本キャッチ・ローリングダウン)
ボールの正面で止まる、Wキャッチ、低いボールへの倒れ込み。
小学校5〜6年:個人戦術の定着と試合の理解
週間練習量の目安(インテンシティの微増)
- 週4回×75〜90分。RPE5〜7。高強度日は週2回。
重点スキル(ファーストタッチの質・キックの種類)
半身で受ける、前向きコントロール、インステップ・インフロント・チップ。
ドリル例(受ける前のスキャン・1v1攻守・数的優位2v1)
- 受ける前の首振り:コーチの合図で方向変更
- 1v1:守備の寄せと攻撃の間合い
- 2v1:パスorドリブルの駆け引き
フィジカル(スプリント反復・方向転換・ジャンプ着地)
10〜30m×6〜8本(完全回復)。ジャンプは着地安定を最優先。
戦術(ライン間で受ける・サポート角度・守備の寄せ)
相手の背中で受ける感覚、パスコースを三角で作る、守備は「遅らせる→奪う」。
メンタル(目標設定と振り返りシート)
週1で「結果・プロセス・行動」それぞれ1つずつ記入。
GK(ステッピング・セービング・キックの基礎)
細かな足運び、正面・サイドのセーブ、ゴールキックのフォーム作り。
中学1年:中学生の強度へ段階的に適応
週間練習量の目安(学校・部活・クラブの合算管理)
- 合算で週5〜6回×90分前後。RPE5〜7中心。成長スパート期は微調整。
重点スキル(プレッシャー下の技術安定)
狭い中での2タッチ、背負ってのキープ、前進と保持の切替。
ドリル例(Rondo 4v2/5v2・ポゼッション6v6+フリーマン)
人数優位で原則を学び、タッチ制限でスピードを上げる。
フィジカル(成長スパート期の注意・自重筋トレの範囲)
痛みが出やすい時期。自重スクワット・ヒップヒンジ・プランクなどフォーム重視。
戦術(守→攻の切替速度・カバー&バランス)
奪った直後5秒の前進判断、守備のズレを小さく。
メンタル(自己管理スキル・スマホと睡眠)
就寝1時間前は画面時間を減らし、睡眠を最優先。
GK(角度取り・1対1対応・配球)
ニアの管理、ブロッキング姿勢、足元の配球選択。
中学2年:強度と質の両立、役割理解の深化
週間練習量の目安(高強度日の配置と回復日)
- 高強度2〜3日+回復1〜2日。週合計は試合予定で調整。
重点スキル(逆足・弱点克服、プレースピード向上)
逆足パス/トラップの実戦化、観て決める速度を1段階アップ。
ドリル例(ゾーン別ポゼッション・トランジションゲーム)
ゾーンを区切り、ライン間攻略と即時奪回を往復で練習。
フィジカル(スプリント・アジリティの測定と更新)
10m/30mタイム、Tテストを月1測定。小さく更新を狙う。
戦術(ライン間連携・ハーフスペース活用)
内側レーンで前向きに。サポート角は斜めを基本に。
メンタル(試合準備のセルフトーク)
「やるべき行動」に言葉を固定(例:背中確認→体の向き→前進)。
GK(クロス対応・ビルドアップの選択肢)
出る/待つの判断、逆サイドへのスイッチ精度。
中学3年:受験・進路と競技の両立設計
週間練習量の目安(試合期と勉強期の波)
- 試合期:質高め、ボリューム中
- 勉強期:短時間の高密度+体を鈍らせない維持
重点スキル(決定力・最終局面の判断)
ゴール前の2タッチ以内、シュートコース作り、最後のパスの質。
ドリル例(フィニッシュ連続・コンビネーション)
連続フィニッシュ(5本1セット)とワンツー崩し。
フィジカル(パワー系導入の前提と安全)
フォーム習得が前提。外部負荷は軽量から、痛みゼロを条件に。
戦術(試合別ゲームプランの作り方)
相手の強み/弱み→自分たちの優位→セットプレーの狙いを事前に言語化。
メンタル(プレッシャー対処・記録の付け方)
ルーティン化と呼吸(4秒吸う→6秒吐く)。試験期は「維持」を成功とする指標に変更。
GK(セットプレー組織・コーチング言語)
役割の明確化、短く通る言葉で統一。
高校1年:高校レベルのスピードに適応する
週間練習量の目安(チーム練+自主練のバランス)
- チーム練中心。自主練は20〜30分の補完で十分。
重点スキル(高圧下のファーストタッチ・スキャン頻度)
背後の確認回数を倍に。体の向きでプレスを外す。
ドリル例(高速Rondo・狭小スペース保持)
2タッチ制限、5秒以内での方向転換を組み込む。
フィジカル(スプリント質向上・可動域ケア)
30m加速、ハムと臀部の活性。股関節の可動域を毎日ケア。
戦術(プレッシングの触発条件・プレス回避)
触発条件(合図)を言語化。回避は3人目を使う原則で。
メンタル(役割受容と成長の定義)
今期の役割を明確にし、評価軸を共有。ベンチでも成長指標を持つ。
GK(スイーパーキーパーの判断)
背後のカバー範囲と出る/待つの基準をチームで統一。
高校2年:ポジション適性の確立と武器の強化
週間練習量の目安(ピークとテーパリング)
重要試合の2〜3週前にピーク、直前は量を落として質を上げる。
重点スキル(武器の伸長と弱点の許容範囲設定)
「強みをより強く」を合言葉に、弱点は致命傷にならない水準に。
ドリル例(ポジション別反復・位置的優位の創出)
SBの内側レーン侵入、CFの背後抜け、IHのハーフスペース受けなどを反復。
フィジカル(ストレングスの段階的負荷)
自重→軽負荷→中負荷。週2回、フォームと回復を最優先。
戦術(トライアングル/ダイヤの自動化)
常に3人目・4人目が関与する形を、制限付きゲームで自動化。
メンタル(自己評価と他者評価の整合)
コーチの評価軸を確認し、自己評価シートと突き合わせる。
GK(ゲームモデルに沿った配球と位置取り)
縦直線だけでなく、横・斜めの優位を作る配球選択。
高校3年:勝負の年、コンディションマネジメント
週間練習量の目安(試合期の調整と回復)
- -3〜-2日:高強度短時間
- -1日:テンポ確認とセットプレー
- 試合翌日:回復セッション
重点スキル(決定機の質・セットプレー強化)
FK/CKの精度、ファーストポストの攻防、二次攻撃の準備。
ドリル例(試合特異的リハーサル・プレッシャードリル)
時間・スコア条件を設定したシナリオ練習。
フィジカル(負荷の微調整・怪我リスク最小化)
違和感ゼロで試合へ。量より睡眠と栄養を優先。
戦術(相手分析→対策→評価のループ)
映像で相手の傾向→練習で再現→試合後に修正点を共有。
メンタル(本番力・ルーティンの固定化)
試合前ルーティンを固定し、余白時間を作る。
GK(試合運び・時間管理・声のトーン)
ゲームのリズムを整える配球と、届く声の質を意識。
ポジション別に見る練習の焦点
FW(背後への動き・ファーストポスト・フィニッシュ精度)
背後へのスタートタイミング、ニア/ファーポストの使い分け、両足フィニッシュ。
MF(スキャン→ボディシェイプ→前進パス)
半身で受ける→縦横の選択肢を持つ→前進を第一に。
DF(対人・ラインコントロール・ビルドアップ)
距離感と身体の向き、背後管理、1stラインの運び出し。
SB/WB(幅の管理・オーバーラップ/アンダーラップ)
タイミングと角度、背後/内側の優位創出。
GK(守備範囲・ビルドアップ・セットプレー)
背後の掃除、数的優位を作る配球、ゾーン設定の共有。
シーズン別計画:オフ/プレ/イン/移行期の設計
オフシーズン(弱点克服と基礎作り)
技術の量と可動域の改善。強度は中程度。
プレシーズン(負荷漸増と連携構築)
週ごとに強度とゲーム時間を増やす。怪我ゼロで開幕へ。
インシーズン(維持と微調整、怪我予防)
試合特異性を高め、量は抑えてキレを維持。
移行期(リセットと低負荷での技術)
低負荷でフォームの見直し。睡眠と栄養で回復優先。
テーパリング(重要試合に向けた調整)
直前1〜2週は量を20〜40%減、スピード維持。
週次テンプレート:学年別のモデル例
小学生モデル(技術中心・短時間高頻度)
- 月:技術(45分)
- 水:技術+ミニゲーム(60分)
- 土:試合形式(60分)
中学生モデル(技戦一体・強度管理)
- 火:高強度(Rondo→ポゼッション→ゲーム)
- 木:技術+戦術(中強度)
- 土:試合
- 日:回復/自主練(可動域+軽い技術)
高校生モデル(高強度日/回復日の波)
- 月:回復(技術・ストレッチ)
- 火:高強度(スプリント+プレス)
- 水:中強度(ポジション別)
- 木:高強度(ゲームスピード)
- 金:軽め(セットプレー)
- 土:試合/日:回復
試合2回の週/試合1回の週の組み替え
試合2回週は高強度を1回に減らし、リカバリー重視。
雨天・短時間・個人練の代替プラン
屋内はボールマスタリーと可動域、イメージトレーニングを組み合わせる。
自主練メニュー集(15/30/60分)
15分:忙しい日のミニマムセット
- 動的ストレッチ3分→ボールタッチ7分→スプリント10m×4→クールダウン
30分:技術×スプリントの複合
- ボールマスタリー10分→壁当て10分→20mスプリント×6→ストレッチ
60分:技術→判断→フィニッシュの流れ
- Rondo10分→ポゼッション制限付き15分→フィニッシュドリル15分→補強10分
屋内/狭小スペース用アレンジ
タッチ数制限、ワンタッチ壁当て、コーン代替でペットボトル利用。
器具なしでできるバリエーション
足裏・インアウト、シャドープレス、イメージ+セルフトーク。
技術テーマ別ドリルライブラリ
ボールマスタリー(足裏・インアウト・方向転換)
30秒×6セットでリズム良く。ミスしても止めずに続ける。
パス&コントロール(2タッチ/ワンタッチ/半身受け)
距離を段階的に伸ばし、体の向きを常に前へ。
ドリブル(運ぶ・抜く・保持の切り替え)
スペースで運ぶ、対人で抜く、人数不利で保持を使い分け。
シュート(インステップ/インサイド/ボレー)
軸足の位置と体の向き。コース優先→パワー。
1対1攻守(間合い・誘導・体の向き)
守備は外へ誘導、攻撃は逆を突く。間合いを数字で言語化(例:1.5m)。
ヘディング(安全なフォームとタイミング)
額で打つ、首と体で運ぶ。接触は安全第一で。
セットプレー練習(キッカー/受け手/ブロック)
キッカーの合図統一、走るコース固定→アレンジ。
フィジカル基礎:年齢に応じた安全な発達
スプリント(技術・姿勢・接地)
頭から足まで一直線、接地は足裏全体で短く強く。
アジリティ(リアクション/方向転換)
視覚・音の合図で反応、減速のフォームを意識。
持久(ゲーム形式での有酸素)
ボールを使ったインターバルが効率的。シャトルよりゲームを優先。
筋力(自重→軽負荷→段階的に)
スクワット、ランジ、プッシュアップ。反動を使わずコントロール。
柔軟/可動域(動的/静的/PNFの使い分け)
前:動的、後:静的。痛みが出る反動は避ける。
成長痛やオスグッド等の配慮ポイント
痛みがある日はジャンプ・キックの量を減らす。継続する痛みは専門家へ。
戦術理解を深める学び方
ビルドアップの原則(幅・奥行・サポート角)
広げる→前進→サポート。三角形で常に2つの選択肢。
守備の原則(制限・奪取・即時奪回)
内外どちらに制限するかを統一。奪った瞬間の5秒に全員が連動。
トランジション(5秒の意思決定)
奪ったら前進、失ったら即時に遅らせるか奪い返すか。
映像学習(クリップ化・メモの取り方)
自分の関与場面を短く切り出し、行動→結果→次の選択をメモ。
ポジショナルプレーの要点(位置的/数的/質的優位)
相手より良い場所・人数・個の質のいずれかを作る意識。
メンタルと習慣:セルフコーチングの技術
目標設定(結果/プロセス/行動の三層)
- 結果:得点、勝利など(コントロール外もある)
- プロセス:決定機創出、前進パス回数
- 行動:スキャン回数、サポート角の取り直し
ルーティン(試合前・練習前・就寝前)
短く・同じ順番で・必ず実行。迷いを減らすのが目的。
振り返り(3つの良かった/1つの改善)
ポジティブ3:改善1で継続しやすく。
モチベーションの波の扱い方
やる気が低い日は「時間を短く・基礎だけ」。ゼロにしない。
プレッシャー下の呼吸と注意の向け先
息を整え、次の一歩・次のパス先に注意を戻す。
ケガ予防と回復:成長期特有の配慮
ウォームアップとクールダウンの必須要素
前:体温↑・可動域↑・判断ON。後:心拍↓・可動域維持・栄養へつなぐ。
足首・膝・腰のセルフケア
足首可動、股関節外旋・内旋、ハム・大腿四頭筋の軽いストレッチ。
オーバーユースの兆候と早期対応
朝のこわばり、左右差、痛みの持続。早めに量を下げる。
睡眠の質を上げる基本行動
就寝前の画面控え、夕方以降のカフェインを避ける、寝室を暗く静かに。
試合連戦時の回復優先順位
睡眠>炭水化物補給>水分・電解質>軽い可動域>アイスバス等の補助的手段。
栄養の基本:練習量に合わせた補給
エネルギー源(炭水化物のタイミング)
前:バナナ・おにぎり等。中:長時間なら少量補給。後:速やかに。
タンパク質(回復と適正量の目安)
運動後は0.3g/kg目安で摂取。1日合計は活動量に応じて。
水分・電解質(発汗量に応じた調整)
色の濃い尿は不足サイン。夏場は電解質も。
試合前後の食事モデル
前:低脂質・高炭水化物。後:炭水化物+タンパク、消化しやすいもの。
間食・補食の活用
練習間は補食でエネルギー切れを防ぐ。
学校・部活・クラブの両立と負荷管理
スケジュール設計(テスト期間・大会期)
テスト週は維持に切替。大会期はリカバリー優先の時短メニュー。
移動・通学時間の活用法
映像学習、セルフトークの準備、軽い呼吸法。
重複練習日の調整(強度のすり合わせ)
同日ダブルは片方を技術中心の軽強度へ。
記録用テンプレート(練習量・睡眠・RPE)
「日付/練習時間/内容/最大RPE/睡眠時間/痛み有無」を1行で。
よくある失敗と回避策
量だけ増やして質が落ちる
セット数を減らして集中度を上げる。意思決定の指標を1つ決める。
弱点ばかりで武器を伸ばせない
武器6:弱点4の比率で時間配分。
休む勇気がない(回復軽視)
連続高強度は最長2日まで。睡眠を最優先。
試合特異性の不足(練習と試合がズレる)
週1回は「制限付きゲーム」で試合に近づける。
データを取らない・振り返らない
最小限でOK。RPEと睡眠だけでも継続。
成長の見える化:評価チェックリスト
技術(ボールタッチ/ファーストタッチ/キック精度)
- 壁当て100本の成功率、前向きトラップの成功率
戦術(ポジショニング/スキャン/サポート角)
- 受ける前の首振り回数、前進パスの回数
フィジカル(スプリント/方向転換/反復持久)
- 10m/30mタイム、Tテスト、YO-YO等の簡易指標
メンタル(継続/集中/自己対話)
- 週の練習達成率、試合中のセルフトークの質
試合指標(関与回数/決定機創出/奪取)
- シュート・ラストパス・ボール奪取の回数
学年別Q&A:よくある疑問に短く答える
小学生:何時間まで?複数競技は?
1回60分前後でOK。複数競技は動きの幅が広がり有益なことが多いです。
中学生:筋トレはいつから?勉強と両立は?
自重とフォーム習得はいつでも。両立は「短時間高密度+睡眠確保」が基本。
高校生:ピーキングの組み方と自主練の比率は?
重要試合2週前から量↓質↑。自主練は不足分の補完(20〜40分)で十分。
GK:個別練は週何回が目安?
週2回+ゲーム内での反復。配球とポジショニングは毎日少しずつ。
保護者:声かけのベストプラクティスは?
結果より過程を具体的に褒める。「どう楽しかった?」から始める。
まとめ:目安を自分専用に最適化する
測る→整える→継続するの3ステップ
- 測る:時間・RPE・睡眠・痛み・技術の1指標
- 整える:週の高強度回数とボリュームを微調整
- 継続する:小さく続け、月1で見直す
次の一歩(今週変える1つの行動)
おすすめは「練習後にRPEと睡眠を1行で記録」。まずは7日間だけ続けてみてください。
参考リソースと記録テンプレートの使い方
テンプレはシンプルに。「日付/内容/分/最大RPE/睡眠/痛み」。続けるほど、あなた専用の最適解が見えてきます。痛みがある場合や不安が強い場合は、医療・指導の専門家に相談しながら調整しましょう。