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サッカーは週何回練習?目的別・年代別の目安

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「サッカーは週に何回練習すればいい?」という疑問に、目的・年代・コンディションの3つの軸で答えるガイドです。回数だけでなく、強度や時間を含めた“合計負荷”で考えることがポイント。この記事では、目的別・年代別の目安、週の配分例(マイクロサイクル)、休養や怪我予防まで、現場で役立つ具体策をまとめました。ご自身やお子さんの状況に合わせて、無理のない最適な練習設計に役立ててください。

はじめに:サッカーは週何回練習すべきかの考え方

結論の要点:目的・年代・コンディションの三軸で決める

  • 目的:楽しむのか、上達重視か、競技志向かで最適回数は変わります。
  • 年代:小中高・大学・社会人で、回復力や学業/仕事の負担が異なります。
  • コンディション:睡眠・疲労・怪我の有無・学業/仕事の繁忙など、その週の状態で調整します。

この3つを重ね合わせた「自分(自チーム)専用の設計」が、遠回りに見えて実は最短ルートです。

週の合計“負荷”で考える(回数×強度×時間)

  • 同じ「週3回」でも、高強度×長時間低〜中強度×短時間では、身体にかかる負担が別物。
  • 目安は、回数 × 強度(主観的運動強度:RPE) × 時間。RPEは10段階(楽=3、きつい=7、限界=9〜10)で記録すると便利。
  • 増やすときは週あたり10〜20%以内の増加を目安に。急増は怪我リスクを高めます。

よくある失敗パターンと避け方

  • 回数だけ増やす:→ 強度を調整し、波を作る(高・中・低)。
  • 毎回同じメニュー:→ 技術・戦術・フィジカル・回復をバランス化。
  • 疲れているのに意地で強行:→ ミニマム・エフェクティブ(短時間・低リスク)に切替。
  • 休養軽視:→ 週1〜2日の休養を固定。睡眠と栄養を確保。

目的別の目安:楽しむ・上達・競技志向での練習回数

健康維持・楽しむ(週1〜2回+軽い自主練)

  • 目安:チーム/仲間と週1〜2回、各60〜90分。強度は低〜中。
  • 自主練:週2〜4回、各10〜20分のボールタッチ・リフティング・体幹。
  • ポイント:怪我を避け、持続可能であることが最優先。

上達志向(週3〜4回:技術中心+試合)

  • 目安:技術練習2〜3回+ゲーム/対人1〜2回。合計週3〜4回。
  • 構成:前半は基礎技術(止める・蹴る・運ぶ)、後半に対人/実戦。
  • 試合:週末に1試合。試合前後の強度は抑える。

競技志向・選手育成(週5〜6回:高強度+戦術)

  • 目安:週5〜6回(高強度2〜3、中強度2、低強度1〜2)。
  • 内容:スプリント反復・ポジション別トレ・戦術(ビルドアップ、プレス)・セットプレー。
  • 注意:回復日と睡眠を“メニュー”として固定する。

ゴールキーパーの特性と配分(反復・反応・フィジカル)

  • 技術反復(キャッチ・ステップ・ダイビング)は短時間×高品質で。
  • 反応トレは集中力が落ちやすいのでドリルは細切れに。
  • 背中・股関節・肩のケア、着地の減衰(マット・芝)で怪我を予防。

目的が混在する場合の優先順位づけと調整

  • 例:上達+健康=週3回のうち1回は低強度の遊び要素に。
  • 例:競技+学業=テスト週は高強度を1回減らし、技術の質を確保。

年代別の目安:小学生〜社会人までの週何回の基準

小学生(ジュニア):成長期に合わせた週2〜3回+遊びのボールタッチ

  • 目安:チーム練習2〜3回(60〜90分)。
  • 自主:毎日5〜15分のボール遊び(片足ドリブル・リフティング)。
  • 注意:成長痛(オスグッド等)の兆候があれば回数より強度と接地衝撃を調整。

中学生(ジュニアユース):週3〜5回(技術×基礎体力)

  • 目安:週3〜5回。1〜2回は対人・戦術、他は技術・体力の基礎。
  • 成長差:早熟/晩熟の差が大きい時期。無理な筋力負荷を避け、フォーム重視。

高校生:週4〜6回(強度管理と回復の両立)

  • 目安:週4〜6回。高強度の翌日は中〜低強度で波を作る。
  • ポイント:睡眠7.5〜9時間確保。鉄分・エネルギー不足に注意。

大学生:週4〜6回(戦術・強度・学業の最適化)

  • 試合映像の分析や個別課題の明確化。週1日は完全オフを確保。
  • ウェイトは目的別に(パワー/スピード重視、下肢・体幹の機能性)。

社会人(アマチュア):週2〜4回(仕事・家庭との両立)

  • 短時間・高効率。30〜60分の集中メニューを選択。
  • 怪我のコストが高いので予防最優先。試合前日は軽め。

保護者向けの配慮:成長期の骨端線・早熟/晩熟差への目配り

  • 骨端線への過度な衝撃(ジャンプ着地の繰り返し)に注意。
  • 身長・体重・睡眠・食欲の変化を記録。痛みを「我慢させない」文化づくりを。

週の配分例(マイクロサイクル):試合日から逆算

試合が週1のケース(試合±1日の強度設計)

試合:日曜を想定

  • 月:回復(15〜30分の軽いジョグ+可動域+技術ドリル)低強度
  • 火:高強度(スプリント、ポジション別対人、戦術)高
  • 水:中強度(ポゼッション、技術+判断)中
  • 木:高強度(ゲーム形式・切替・セットプレー)高
  • 金:戦術確認+プレパレーション(短時間・質重視)低〜中
  • 土:前日調整(可動域・セットプレー最終確認)低
  • 日:試合

試合が週2のケース(回復重視の短周期)

  • 試合翌日:回復(アクティブレスト、補強、可動域)
  • 中2日:軽〜中強度の技術/戦術、短時間のスピード刺激
  • 前日:戦術確認と集中力のピークづくり

オフシーズン/プレシーズン(基礎作り→試合強度への移行)

  • オフ:頻度を落とし、痛みのケアと弱点補強(体幹・股関節)。
  • プレ:週3→4→5と段階的に増やす。ゲーム強度は後半に。

学業・仕事が忙しい週(時間圧縮メニュー)

  • 20〜30分でもOK:技術10分+スプリント刺激5分+補強10分。
  • 通学・通勤の歩行を増やし、可動域ルーティンは寝る前3〜5分。

怪我明けの漸進復帰プラン(段階的負荷の指針)

  • 痛みゼロの有酸素→直線ジョグ→カット→対人なし技術→制限付き対人→全面。
  • 各段階で48時間は様子を見てから次へ。RPE・痛みの記録を継続。

チーム練習と個人練習:最適な比率と役割分担

個人練習:ボールタッチ・基礎スキル・弱点克服

  • 5〜20分の短時間でも積み上がる。片足ドリブル、ターン、壁当て。
  • 弱点1つに集中(例:利き足外側のトラップ)。

個人フィジカル:走力・敏捷性・筋力(自重から段階的に)

  • スクワット、ランジ、プランク、ヒップヒンジ(フォーム最優先)。
  • 走力は短いダッシュ+十分な休息で質を担保。

チーム練習:戦術理解・連携・対人強度

  • 役割の共有、距離感、トリガー(プレス開始の合図)の共通理解。
  • 小規模対人(SSG)で実戦強度を安全にコントロール。

自宅・公園でできる補完メニュー(短時間・低リスク)

  • ラダーの代わりに線1本でフットワーク。
  • 壁当て、コーン代わりのペットボトルでターンドリル。

練習量を決める客観指標:見える化で最適化

主観的運動強度(RPE)と週間負荷の管理

  • 練習後にRPE(0〜10)×時間(分)=セッション負荷。
  • 週合計で急上昇していないかをチェック。

急激な負荷増加の回避(増量は週10〜20%以内を目安)

  • 先週の合計負荷から+10〜20%以内で調整。
  • 痛みや睡眠低下があれば増量を見送る。

心拍・睡眠・HRVなどの体調指標

  • 起床時心拍が普段より高い、睡眠の質が低い→強度を落とすサイン。
  • HRV(心拍変動)を測るデバイスがあれば目安に。

走行距離・スプリント本数・加減速回数の把握

  • GPSがなくても、ダッシュの本数や時間をカウントするだけで十分。
  • 高強度の合計時間を週で管理。

成長痛や違和感の早期察知と記録(トレーニング日誌)

  • 痛みの部位・程度(0〜10)・出た動きをメモ。
  • パターンが見えれば、予防と配分調整がしやすい。

休養日の重要性:週何回“休む”かで伸びが決まる

睡眠時間の目安と練習への影響

  • 中高生は7.5〜9時間、成人は7〜8時間を目安に。
  • 寝不足は判断力・スプリント・怪我リスクに直結。

栄養・水分・鉄分ケア(若年アスリートの留意点)

  • 主食+主菜+副菜+乳製品+果物を基本に。
  • 貧血予防に鉄・たんぱく質、発汗に合わせて水分・電解質。

アクティブレスト(低強度有酸素・可動域)

  • 15〜30分のウォーク/バイク、ストレッチ、フォームローラー。
  • 「何もしない」より回復が早いことが多い。

オーバートレーニングの兆候と対処

  • 動機低下、睡眠障害、体重減、脈拍高め、集中力低下。
  • 兆候があれば強度を下げ、医療・専門家に相談。

部活・クラブ・社会人リーグの現実と折り合いの付け方

部活の高頻度練習におけるセルフマネジメント

  • 強度の高い日は帰宅後の補強を「しない勇気」。
  • 痛みが出たら早めに申告。冷却・圧迫・挙上を基本に。

クラブチームの計画性を活かす(期分けと個別課題)

  • 期分け(オフ/プレ/コンペティション)を理解し、自主練の狙いを合わせる。
  • 個人の課題表を作り、月ごとに更新。

社会人の時間制約下での効率練習

  • 「30分の質」×週2〜3で十分上達は可能。
  • 移動・準備の少ないメニュー(自重・壁当て・ミニダッシュ)。

保護者ができるサポート(送迎・食事・睡眠環境)

  • 練習直後の補食(牛乳+おにぎり等)を用意しやすく。
  • 寝る前のスマホ時間を短くするルールづくり。

ポジション別の練習回数・強度の考え方

GK:反応・空中戦・キックの反復と回復管理

  • 短時間×高品質のテクニック反復(疲れる前に終える)。
  • 着地衝撃の分散、肩・股関節のモビリティを日課に。

DF:対人・守備戦術・スプリント再現

  • 1v1/2v2の距離感、ラインコントロール、クリアの質。
  • 後方からのスプリント繰り返しを週1〜2回。

MF:運動量・切替・視野拡張ドリル

  • ポゼッション、方向転換、首振り(スキャン)の習慣化。
  • 中強度の反復+短時間の高強度刺激。

FW:フィニッシュ反復・オフボールの動き出し

  • ワンタッチ・ツータッチの決定力を高頻度で。
  • 最終局面のダッシュは質重視で本数管理。

サイド(SB/WG):ハイインテンシティ反復の配分

  • オーバーラップのスプリント再現、クロス精度。
  • 疲労が溜まりやすいので翌日は中〜低強度へ。

強度コントロール(ゾーン管理):週の中での波を作る

低・中・高強度のバランス設計

  • 高強度は週2〜3回まで。間に回復・技術日を挟む。
  • 低強度も「意味を持たせる」(技術の質、可動域)。

スプリントと切り替え回数の管理

  • 1本の質を担保し、総本数を増やしすぎない。
  • 切替ドリルは短いセット×休息で鋭さを保つ。

リカバリー走と技術の組み合わせ

  • ジョグ+パス精度、可動域+トラップのように組み合わせる。

小規模対人(SSG)の強度調整ポイント

  • ピッチを狭くすると強度アップ、人数を増やすと強度ダウン。
  • タッチ制限で技術/判断の狙いを明確に。

怪我予防とコンディショニング:頻度を支える土台作り

ウォームアップ・クールダウンの必須化

  • 動的ストレッチ→神経系活性(スキップ/サイドシャッフル)→ボールでアップ。
  • 終了後は心拍を落とし、伸ばしすぎない静的ストレッチ。

柔軟性・筋力(股関節・体幹・ハムストリング)

  • ヒップヒンジ、ノルディックハム、サイドプランク。
  • 週2〜3回、10〜15分でも継続が価値。

足首・膝の安定化(ジャンプ着地・方向転換)

  • 片脚バランス、ドロップジャンプで膝の向きを意識。
  • カッティングは膝が内に入らない角度とリズムを練習。

成長期の代表的トラブル(オスグッド等)への配慮

  • 痛みが出たらジャンプ/ダッシュを減らし、アイシングとストレッチ中心へ。
  • 痛みが引いてから段階的に復帰。無理に試合を続けない。

用具と環境(スパイク選び・ピッチ状態)の影響

  • ピッチに合ったスタッド(HG/AG/FG)で関節への負担を軽減。
  • 濡れた路面はスリップに注意。雨天はメニューを変更。

よくある質問(FAQ):週何回の悩みに答える

毎日ボールを触っても大丈夫?(強度と時間のコントロール)

OKです。ただし強度と時間を調整しましょう。毎日15分の軽いボールタッチはむしろ有効。高強度の対人やスプリントは週2〜3回にとどめます。

休むと下手になる?(超回復と学習の定着)

休養は上達の一部です。睡眠中に神経系の学習が定着します。休んだ翌日に技術が安定することは珍しくありません。

雨の日はどうする?(屋内メニューと滑走路面の注意)

  • 屋内:体幹・股関節、ラダーステップ代替、壁当て。
  • 屋外:滑る路面はスパイク選びと減速に注意。無理に高強度をしない。

学校・仕事で疲れている日は?(ミニマム・エフェクティブ練習)

  • 15〜20分:ボールタッチ5分+短ダッシュ3〜5本+可動域。
  • 「やらない不安」を解消しつつ回復も確保。

テスト期間・繁忙期の調整例

  • 回数は据え置き、時間を半分、強度は低〜中。
  • 週末だけ高めにして、平日は回復と技術の質重視。

まとめ:サッカーの練習は週何回が最適かを自分で設計する

3ステップで決める(目的→年代→コンディション)

  1. 目的を決める(楽しむ/上達/競技)。
  2. 年代に合わせた回復力・生活を考慮。
  3. その週の体調・学業/仕事で最終調整。

1週間プランの作り方(強度の波・休養の固定化)

  • 試合日から逆算して高・中・低の波を配置。
  • 休養日を先にカレンダーへ固定。
  • 増量は10〜20%以内で段階的に。

続けるためのチェックリスト(記録・体調・学業/仕事)

  • RPE×時間の記録、睡眠・食事の簡易メモ。
  • 痛み0〜10のスケールで自己評価。
  • 学業/仕事の大イベント週は早めに計画修正。

あとがき

「週何回やるか」はゴールではなくスタートです。回数にこだわりすぎず、合計負荷と回復の質を整えれば、少ない時間でも伸びていきます。今日の自分に合った一歩を積み重ねていきましょう。継続は、間違いなく力になります。

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