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サッカーのリフティング、何回が目安?年齢別の到達ライン

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「サッカーのリフティング、何回が目安?年齢別の到達ライン」をテーマに、年齢ごとの目標設定と、効率よく伸ばすための具体策をまとめました。回数はひとつの物さしですが、評価条件がバラバラだと比較が難しくなります。この記事では、何をどう数えるのかを最初にそろえたうえで、年齢別の到達ライン、14日で伸ばす練習プラン、停滞期の突破法、安全面までを一気に押さえます。親子で取り組む方にも、自主練を強化したい選手にも役立つ内容です。

リフティングの目安を決める前に:目的と定義をそろえる

何を数える?連続回数・制限時間・部位別の定義

「何回できた?」を扱う前に、カウントの定義を決めましょう。

  • 連続回数テスト:落とさずに続けた最高回数。最も一般的。
  • 30秒テスト:制限時間内の回数。スピードと安定性を同時に見やすい。
  • 部位別テスト:足(インステップ/インサイド)、もも、頭など部位ごとに計測。

同じ「50回」でも、部位ミックス可か、足のみかで難易度は変わります。比較したい相手(チームメイト、過去の自分)と同じ定義で測るのが前提です。

両足交互か片足集中か:到達ラインの見方が変わる理由

両足交互はリズムが取りやすく、回数が伸びやすい一方、片足集中は弱い足の鍛錬に最適です。目安を設定する際は、

  • 両足交互の最高回数
  • 右足のみ/左足のみの最高回数

の3項目で管理すると、上達の偏りが見えます。

ワンバウンドOK/NGや高さ制限など評価条件の統一

ワンバウンド許可、膝〜腰の高さ制限、キャッチの可否で難易度は大きく変わります。練習では段階的に、

  1. ワンバウンドOK+高さ自由
  2. ノーバウンド+高さ膝〜腰で一定
  3. 視線を上げて(顔を上げたまま)継続

と進めると、無理なく回数と質を両立できます。

ボールサイズと空気圧、靴と地面条件が成績に与える影響

ボールは軽い・柔らかいほど回数が伸びやすく、固い・弾むほど制御が難しくなります。空気圧は低すぎると足離れが悪く、高すぎると弾みすぎる傾向。靴は足先感覚が出るトレーニングシューズかフットサルシューズが扱いやすいです。地面は平滑で段差のない場所がベスト。条件が違うと比較になりにくいので、テスト日は「同じボール・同じ場所・同じ靴」を基本にしましょう。

上達の指標:回数・難易度・安定性(ミス率)・視線の高さ

回数だけではプレーの質が読み取りづらいので、次も一緒に見ます。

  • 難易度:部位ミックス比率、弱い足比率、片足連続数
  • 安定性:30秒あたりのミス数(0〜1回を目標)
  • 視線の高さ:足元を見ないで続けられる回数

「回数×難易度×安定性」で評価すると、ピッチで役立つ力に近づきます。

年齢別のリフティング目安回数と到達ライン

未就学(5–6歳):ボールに慣れる段階の“成功体験”設定

この時期は回数よりも「当てて浮かせる」「キャッチできた」を褒める段階です。

  • 目安:手→足→キャッチを5〜10回、ワンバウンドで2〜3連続
  • 狙い:足先の感覚づくり、恐怖心の軽減、リズム感
  • 条件:やわらかいボール、室内は安全確保を優先

小1–2年:ワンバウンド練習から連続3〜10回への橋渡し

ノーバウンドの成功体験を積み上げます。

  • 目安:ノーバウンドで両足交互3〜10回、ワンバウンドだと10〜20回
  • 弱い足:片足2〜3回の成功を目標
  • ポイント:高さは膝下〜膝、ボール回転を抑える

小3–4年:両足で10〜30回、落下コントロールの安定化

ボールの軌道と高さの再現性を高めます。

  • 目安:両足交互10〜30回、片足5〜10回、30秒テストで15〜30回
  • 部位:インステップ主体+インサイドを織り交ぜる
  • 質:ミス率を30秒で2回以内に抑える

小5–6年:50回到達と“弱い足”強化、部位ミックスへの挑戦

  • 目安:両足交互30〜50回、片足10〜20回、もも混ぜ10回以上
  • 弱い足:強い足の70%程度の回数を目指す
  • 視線:10回に1回、顔を上げる→最終的に顔上げで20回

中学生:100回前後の安定、インステップ主体から多部位へ

  • 目安:連続80〜120回、片足20〜40回、部位ミックス30〜50回
  • 質:高さを膝〜腰で一定、回転を極力ゼロに近づける
  • 応用:移動しながらのリフティング(前後1〜2m)

高校生:200回前後の安定と視線アップ、負荷付きドリルへ

  • 目安:連続150〜250回、片足40〜80回、視線上げで100回
  • 質:テンポ一定(メトロノーム90〜110BPM目安)
  • 応用:合図に反応して部位切替、合間に方向転換を入れる

大学生・社会人ビギナー:10→50→100回の段階設計

  • 初期:ワンバウンドから両足交互10回
  • 中期:50回到達+片足10回
  • 後期:100回安定+弱い足20回、視線上げで30〜50回

育成年代の上位層(選抜・トレセン相当):質を伴う300回+の考え方

  • 目安:連続300回以上、片足100回、部位ミックス100回
  • 質:顔上げ維持、回転極小、高さ誤差を最小化
  • 応用:外乱(合図、移動、相手の軽い接触)下で安定

個人差と成長スパート:遺伝・練習量・運動歴の影響をどう見るか

リフティングは反復で伸びやすい領域です。成長期の身長変化、運動歴(体操・縄跳び・ダンスなど)、練習の頻度と質で到達時期は変わります。大切なのは「同年齢の平均」より「昨日の自分の更新」。月次でPB(パーソナルベスト)を見直し、焦らず積み上げましょう。

リフティング回数は“万能評価”ではない:ピッチで効く力との関係

トラップ精度・初速コントロールとの相関と限界

リフティングが上達すると、足先の接触精度とボール感覚が高まり、トラップやキックの初速コントロールに良い影響があります。ただし、相手・スペース・時間の制約がある試合環境では、回数の多さだけで決まらないことも事実。実戦に生きるのは「正確な接触×周辺視×判断」です。

判断スピードと視線の高さ:上を見て続けられるか

顔を上げたまま続けられるほど、周辺視野が働き、次の選択肢を確保できます。練習では目標物(コーチの手、ゴール、コーン)を見ながら続けるドリルを入れ、視線とボールコントロールの両立を鍛えましょう。

部位別スキル(インサイド・インステップ・もも・頭)の移行

インステップでの安定が土台です。次にインサイド、もも、頭へと拡張すると、トラップやパスの選択肢が広がります。部位移行は「高さ一定」「回転を抑える」を共通ルールにするとスムーズです。

弱い足の克服が試合パフォーマンスに効く理由

弱い足で扱えると、相手に読まれにくく、プレーの角度が増えます。ファーストタッチが左右どちらにも出せるだけで圧力から逃れやすくなるため、試合での貢献度が上がります。

回数の伸び悩み=フォーム課題か、感覚統合の問題か

伸び悩みは大きく2種類。

  • フォーム課題:つま先角度、足首の固定、軸足の体重配分
  • 感覚課題:テンポの乱れ、回転コントロール、視線が落ちる

動画とテンポ(メトロノーム)で原因を特定すると改善が早いです。

14日で伸ばすリフティング強化プラン(自宅・校庭対応)

ウォームアップと基礎姿勢:支軸、骨盤、接触点の確認

  • 股関節・足首の可動域ドリル(各1分)
  • その場スキップ+片足バランス(各30秒)
  • 基礎姿勢:背すじを立て、骨盤はやや前傾、軸足は母趾球に体重、蹴る足のつま先はやや上げる

初級:手→足、ワンバウンド、左右交互の3本柱

  • 手投げ→1タッチ→キャッチ×10本
  • ワンバウンド交互×10本(高さ膝)
  • ノーバウンドで交互3〜5回×5セット

中級:高さ一定・回転抑制・弱い足25%縛り

  • 高さ物差し(膝〜腰)をイメージし、上下ブレを減らす
  • 回転ゼロを狙い、足面を水平に当てる
  • 1日の合計タッチの25%は弱い足で確保(例:400タッチ中100タッチ)

上級:視線アップ(顔を上げる)と“音”でタイミングを取る

  • コーチや親の指さし合図に合わせて部位チェンジ
  • メトロノーム90〜110BPMに合わせてテンポ一定
  • バウンド音・接触音のタイミングで次の一手を予測

フォーム修正ドリル:つま先角度・接触時間・軸足の使い方

  • つま先角度:10〜20度上げて、足背の中央で真上に弾く
  • 接触時間:当てた瞬間に素早く足を戻し、押し出しすぎない
  • 軸足:膝を軽く曲げ、体の真下でボールを扱う

家でもできる工夫:小スペース練習、静音ボール、壁活用

  • 小さめ・柔らかめのボール(ミニ・フォームボール)で近隣配慮
  • 壁当て→1タッチ→キャッチでテンポ感を養う
  • カーペットやヨガマット上で反発と音を軽減

データで自己管理:1日3セット×30秒テストとPB更新

  • 1日3セット、各30秒で回数とミス数を記録
  • 週1回は連続回数のPB挑戦日を設定
  • 弱い足・視線上げ・部位ミックスも別枠で数値化

14日メニュー例(目安)

  • Day1–3:初級ドリル+30秒テスト
  • Day4–6:中級ドリル+弱い足25%縛り
  • Day7:PB挑戦(連続回数)+軽めのフォーム撮影
  • Day8–10:上級ドリル(視線・テンポ)
  • Day11–13:部位ミックスと移動を追加
  • Day14:総合テスト(連続・30秒・部位別)

年齢別の練習フォーカスとコーチングのコツ

未就学〜小低:成功体験を積む“遊び化”と安全最優先

  • ゲーム化:「何回キャッチできるか」「合図で止める」
  • 褒めポイント:当てられた、落ちても再トライした
  • 安全:家具や段差、周囲との距離を確保

小中学年:リズムと反復、弱い足は“1回でも褒める”

  • テンポ一定を意識(手拍子・メトロノーム)
  • 弱い足の成功1回=大きな進歩として承認
  • 短時間×高頻度(5分×3本など)で飽きさせない

小高学年:課題を数値化、部位ミックス比率の導入

  • 「今月のテーマ」を1つ(例:片足20回)
  • 部位ミックス30%など比率で管理
  • 週次でPB更新グラフを作るとモチベが続く

中学生:疲労管理と成長痛配慮、可動域と体幹の役割

  • オスグッドや足底の張りに注意し、痛み時は強度を下げる
  • 股関節と足首の可動域ドリルをルーティン化
  • 体幹スタビリティ(プランク等)を週2–3回

高校生:視線アップと意思決定の同時負荷、メニュー周期化

  • 合図反応(色・数・方向)を入れて判断を鍛える
  • 3週間積み上げ+1週間軽めで波を作る
  • 試験・大会期は維持メニューに切り替え

保護者のサポート:計測役・記録役・安全管理のポイント

  • 条件の統一(同じボール・場所・時間帯)に付き添う
  • 数値と一緒に「今日の良かった点」を1つ残す
  • 疲労サイン(痛み・フォーム崩れ)を見逃さない

停滞期を突破するテクニック

動画で“接触点”を可視化:足背のどこで触れているか

スローモーションで「足背の中央に当たっているか」「当てた後に足が流れていないか」を確認。つま先が下がると回転がかかりやすいので、やや上げる意識を。

メトロノーム・拍手でリズム固定:テンポ一定化

テンポが一定だと高さと回転が安定します。90〜110BPMで練習し、苦手な足の時ほどテンポを落としすぎないことがコツです。

規制で伸ばす:弱い足縛り、左右交互、部位ローテ

「弱い足のみ30秒」「左右交互縛り」「足→もも→頭の順でローテ」といった制限は、課題に直接効く近道です。

高さの“物差し”を置く:膝下〜腰の範囲で再現性を出す

コーンや視覚的マーカーを使い、上下のブレを減らします。高さの安定が回数の安定に直結します。

ミスの原因分類(高さ・回転・軸足・視線)で改善順序を決める

  • 高さ過多:当てる力を弱め、接触時間を短く
  • 回転発生:足面をフラットに、ボール中央をヒット
  • 軸足不安定:母趾球荷重+膝軽屈曲
  • 視線低下:顔上げタスクを少回数から練習

安全とケガ予防:成長期に気をつけたいこと

足関節・膝(オスグッドなど)の負担管理

成長期は膝前面やアキレス腱周囲に負担が出やすいです。痛みが出たら即強度を下げ、患部を休ませましょう。痛みが続く場合は医療機関で相談を。

反復練習と休息のバランス、週あたりの推奨ボリューム感

短時間×高頻度が理想。目安は1回5〜15分、週4〜6回。大会・部活の強度が高い週は回数ではなく質(視線・回転ゼロ)に比重を置きます。

シューズ選びと地面:滑り・反発・衝撃の観点

トレーニングシューズやフットサルシューズが安定。地面は平滑で乾いた場所。濡れた路面や斜面は転倒リスクが上がります。

ウォームアップ/クールダウン:腱・足底のケア

  • 開始前:足首回し、ふくらはぎ軽ストレッチ、股関節ドリル
  • 終了後:ふくらはぎ・太もも前後のストレッチ、足裏ローリング

室内練習の注意:家具・床材・騒音対策

周囲1.5mに障害物がないこと、滑りやすい床ではマットを使用。柔らかいボールで騒音と破損を避けましょう。

評価とテストのやり方:公平・再現可能な測り方

30秒テストと連続回数テストの使い分け

  • 30秒テスト:安定性とテンポ、疲労下の再現性を評価
  • 連続回数:ピーク能力と集中力を評価

両方を月1回ずつ記録すると、総合力の推移が見えます。

部位別テスト(足・もも・頭)で弱点把握

足(左右別)、もも、頭の30秒回数を測り、最小値を今月のテーマに選びます。

視線アップテスト:目標物を見ながらの継続回数

胸より上の目標物を見続け、落とさずに何回続けられるかを計測。反応合図を入れると実戦に近づきます。

週次・月次のログとPB更新の記録テンプレート

  • ログ項目:日付/ボール種/場所/靴/連続回数/30秒回数/ミス数/弱い足回数/今日の気付き
  • PB欄:連続・30秒・片足・視線上げ・部位ミックスの5種

よくある質問(FAQ)

片足だけ上達してしまう時の対処法

弱い足タッチ比率を25〜40%に固定し、練習の最初と最後を弱い足メニューに。テンポは同じに保ち、回数よりフォームの正確さを優先します。

ボールが回転してしまう:原因と直し方

原因は足面の傾きと接触点のズレ。足背をフラットにし、ボール中央をまっすぐヒット。動画で足面とボールの接触角を確認し、修正します。

冬季・雨天の練習アイデアと用具選び

室内はフォームボールやミニボール、ヨガマットを活用。屋外は防寒・防滑シューズで短時間集中メニュー(30秒×3セット)に切り替え、疲労と冷えを避けます.

軽いボール/柔らかいボールでの練習は有効?

有効です。恐怖心を減らし、接触の感覚づくりに役立ちます。本番テスト時は通常ボールに戻し、条件を一定にしましょう。

回数が伸びないのはセンスの問題?努力で変えられる範囲

反復で伸びやすいスキルです。フォーム修正+テンポ一定+弱い足比率の見直しで、多くの停滞は突破可能。数週間単位でグラフ化すると進歩が見えます。

まとめ:年齢別到達ラインの活用と次の一歩

回数だけに偏らない“質×再現性”の指標化

連続回数に、部位ミックス率・ミス率・視線アップの項目を足すと、試合に近い評価になります。

到達ラインを目標→習慣→自己更新サイクルへ

月初に到達ラインを決め、週次で30秒テスト、月末にPB挑戦。小さな更新を積むほど自信と実戦力がつきます。

今日からできる3ステップ:計測・記録・1つの修正

  • 同じ条件で30秒テストを1本
  • 記録帳に「回数・ミス・気付き」をメモ
  • 原因を1つ決めて、次回の修正ポイントに

年齢別の到達ラインは道しるべ。大切なのは、今の自分に合った定義で測り、昨日より一歩進むこと。無理のない反復と丁寧なフォームで、ピッチに効くボールタッチを育てていきましょう。

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